イギリス「EU離脱」はなぜこうももめているのか 今さら聞けないブレグジットの功罪

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■難民・移民が減る

EU加盟国でなくなった以上、難民・移民の分担受け入れ義務からは解放される。そうすると国としての福祉負担が減り、税金や保険料も安くできる。

ただし難民・移民が減れば「労働者も減る」ことになるため、イギリスの労働力と税収が減ってしまう。これは、ヨーロッパ全体で少子高齢化が進んでいる現状を考えると痛手だ。

まあでも、福祉負担が減ることこそが彼らの望んだことだから、これは「離脱してよかった」ことになるだろう。

「俺も抜ける!」という雪崩現象の可能性も

■イギリスが国際社会で孤立する

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これは今後もEUが正常運転を続けたら、当然考えられる事態だ。離脱したことでかつての仲間はよそよそしくなるだろうし、そのうえアメリカでトランプ政権が崩壊でもしたら、誰も味方してくれなくなるかも。

しかし現在、その可能性は薄そうだ。なぜなら今、ヨーロッパ全体で、ポピュリズムと極右の嵐が巻き起こっているからだ。むしろ、イギリスに続く国が次々と現れ、EUが崩壊することの方が心配だ。

■思いのほかうまくいく

たぶんEU諸国が最も恐れているシナリオがこれだ。つまり、ポンド安がうまく作用し、難民・移民問題などが解消され、マイナス面が予想されたほど起こらないと、「俺も抜ける!」という雪崩現象が起こる可能性がある。

2019年現在、EU諸国では反移民の極右政党やポピュリズム政党が、すさまじい勢いで躍進中だ。イタリア・ハンガリーではポピュリズム政権が誕生し、ドイツも最大野党がポピュリズム政党、フランスでもルペン党首率いる最大野党「国民戦線(FN)」が「フレグジット」(フランスのEU離脱)を掲げている。

ポピュリズムの世界的な流れは、独仏が手塩にかけて育ててきたEUの今後を、不透明なものにしている。

蔭山 克秀 代々木ゼミナール講師

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かげやま かつひで

愛媛県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。現在、代々木ゼミナール公民科講師として、「現代社会」「政治・経済」「倫理」を指導し、それらはすべてサテライン映像授業で全国配信されている。最新時事や重要用語を網羅したビジュアルな板書と、「政治」「経済」の複雑なメカニズムに関する本格的かつ易しい説明により、センター試験受験者から早大を中心とする難関大学志望者まで、あらゆるレベルの受講生から「先生の授業だけは別次元」という至高の評価を受ける。『改訂第2版 大学入試 蔭山克秀の政治・経済が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)、『やりなおす経済史 本当はよくわかっていない人の2時間で読む教養入門』(ダイヤモンド社)、『蔭山のセンター政治・経済パワーアップ版』(学研教育出版)など著書多数。

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