イギリス「EU離脱」はなぜこうももめているのか

今さら聞けないブレグジットの功罪

EUのスタンスは「協定を受け入れるか、ブレグジットを中止するか」だ。対してイギリスの与党・保守党は、現在「離脱派」と「離脱強硬派」に二分して、収拾がつかない。このままでは最悪「合意なき離脱」もありうるのが現状だ。

ではここで、仮にすべての交渉がうまくいき、ブレグジットが成功した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのか、考えてみよう。

金融マーケットの中心ではなくなるリスク

■ポンド安が発生する

イギリスがEUから離脱すると、イギリスの信用が低下し、ポンドの価値が下がる。その結果「イギリスのモノが安くなる」から、輸出競争力は伸び、観光収入も増える。

ただし19世紀と違って、今のイギリスは「輸入偏重国」だ。国際収支はここ30年以上、つねに赤字。そんな中でポンド安が進めば「他国のモノが高くなる」から、これはイギリスにとって厳しい。とくにイギリスは、EU諸国からの食料品の輸入が多いだけに、これは国民の生活を圧迫しそうだ。

■欧州との貿易に関税がかかるようになる

これはあくまで「仮の仮の話」だ。つまりイギリスがEUとのFTAも結べず、バックストップも発動しなかったらという話だ。

EU加盟国間で貿易する際のメリットは、「域内関税ゼロ」だ。これがあれば、EU諸国への輸出は進み、国際収支は改善する。しかしそれがなくなると、どのEU加盟国もイギリス製品に対し、普通に関税をかけてくる。これではせっかくのポンド安の恩恵が台なしになる。

■金融マーケットの中心国でなくなる

ロンドンの「シティ」は、世界の金融の中心街だ。しかしイギリスがEUを抜けると、海外の金融機関は今後「シティに支店を置いても、EU諸国と規制なく金融取引することができなくなる」ため、シティの価値は大幅に低下する。海外の金融機関離れが起こってしまえば、イギリスにとって大ダメージだ。

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