なぜ地銀はモラルを失ってしまったのか

このままでは「自己破産者」がさらに増える

日銀の金融緩和で銀行は貸し出しを増やしたが、かえって収益力を落としたところも多い(写真:大隅智洋)

日本銀行は金融緩和をどこまで継続できるのか。どのような策を講じたとしても、あと5年単位で継続することは非常に難しいだろうと考えています。なぜなら日銀による量的緩和やマイナス金利といった政策によって、銀行は利ザヤを稼ぐことができなくなり、収益が相当に落ち込んできているからです。

銀行の貸出残高は20年ぶりに500兆円を超えたが…

2016年2月1日の記事『マイナス金利は「劇薬」というより「毒薬」だ』では、マイナス金利の導入によって決して避けられないのは、銀行の収益基盤の悪化であると申し上げました。さらには、企業は需要が見込めない中で「融資を受けて設備投資をしよう」とは考えない現状、むしろ融資が必要なのは「資金調達に苦労しているゾンビ企業」が大半を占める現状を指摘したうえで、マイナス金利は経済効率を高めるという金利本来の機能を麻痺させてしまうだろうと懸念を申し上げたわけです。

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それでは実際にはどうなったのかというと、日銀の資金循環統計によれば、邦銀の2018年末の国内貸出残高は504兆円となり、1998年末以来20年ぶりに500兆円の大台に乗せています。景気回復と低金利が追い風となって中小零細企業への融資が伸びたといわれていますが、実際の現場で起こっているのは、「ゾンビ企業に対して低金利で融資する」という事例をあげれば枚挙にいとまがないということです。地銀は金余りで融資競争にのめり込み、財務や返済に懸念がある企業にまで融資せざるをえない状況に陥っているのです。

その結果として、融資総額を増やした銀行は、増やさなかった銀行より収益力が落ちてしまっています。本来であれば、収益性が高い企業は低い金利で融資を受けることができる一方で、収益性が低い企業は高い金利でしか融資を受けられないはずです。しかし現実には、日銀の低金利政策が金利本来の機能を麻痺させてしまい、日本の経済効率を低下させてしまっているのです。政府も日銀も企業の生産性を上げなければならないと言っているのに、実際には真逆の結果を招いているというわけです。

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