中原:中編のお話では、マーケティングの結果をもとに、スポンサーの興味を引く提案をしながら、お客さんを引きつける仕掛けを次々とつくっていくということを教えていただきました。
いちばん印象に残ったのはやはり、将来を見据えてスタジアムのキャパシティー(収容人数)を4万人から2万5000人に落としたいというお話でした。私もその考えには大いに賛成で、人口減少社会に備えて戦略的に縮小すると同時に、付加価値が高いVIP席を5000程度まで増やすことで、かえって収益力が高まるのは正しいと思います。
VIPの接遇はVIPを知らないとできない
鈴木:それでも問題があります。VIPの接遇をする社員を育てるのが大変なんですね。VIPのもてなしを受けたことがない人がやっても、そういうもてなしは絶対にできないわけですから。
エアラインの最上級のもてなしを受けたことがあるとか、最上級のホテルに泊まってもてなしを受けたことがあるとか、そういう経験がない人がいくら考えてやったとしても、しょせんは陳腐なものにしかならないじゃない。そこが課題なんですよね。
だから社員には「どんどんいいサービスを体験しなさい」って言っているのですが、企業としてはそれを強いるわけにはいかないから、やっぱりなかなか難しいですよね。そんなことを言っていると、接遇は外注すればいいだろうって話になりかねないし……。
でもやっぱり、そこをわかっていないとね。うちがVIPに出す料理が本当においしいのか、おいしそうに見えるかもしれないけど、お客さんは本当にこれで満足しているのか。そこを真剣にやっていかねばならないんですよ。だからスタジアムを小さくして、収益を上げるっていうことはやりたいんですよね。
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