鈴木:去年、スポーツ庁の会議に参加してきたんですが、スポーツを成長産業にしようという骨太方針のなかで、競技場をスタジアムに、体育館をアリーナに変えて、稼げる施設を目指そうという方針が示されたわけなんです。本業を支えるためにも、ビジネスに長けた人に投資する。
本業のサッカーを支えるために事業計画を練る
要するに、クラブチームはそのスポーツだけでは食い扶持を稼ぐことができないんですよ。だから僕らはハコモノのビジネスを始めているわけで、病院をやる、フィットネスクラブもやる、温泉もやると、どんどん多角化していかなければならないと思っています。
その一連の動きのなかで、DMO(その地域の観光資源に精通し、地域と協力して観光地づくりを行う法人のこと)をホームタウン、スポンサーと共に立ち上げて、外国人観光客を呼び込んで観光業もやるってことになったんですね。
だからサッカーとは違う分野で能力のある人、ビジネスに長けている人を会社にどんどん入れていかないと、本業のサッカー自体を支えられなくなるわけなんですよ。
中原:少しずつ投資をして人材を育てていかないと、時代の変化に対応できないということですね。
鈴木:そうそう。温泉をやろうとしたきっかけは堀江さん(堀江貴文氏)なんだけど、「お客さんがスタジアムに来る道中に温泉があったらいいよね」って言われて、それで1年くらい経ってから「やろう」ということになって、スタジアム内に今春オープンする予定です。
中原:鈴木さんはユーモラスにお話しになるので、多くの人たちがこの対談を読んで「面白い話だったなあ」と思ってくれることでしょう。しかしこれがそれだけで終わらないことを望んでいます。
このお話は一般の読者だけでなく、むしろ地方の企業経営者にとって非常に重要な話です。鹿島アントラーズの経営の要諦を、できるだけ多くの地方の経営者に学んでほしいと、心から願っています。
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