中原:地方の企業経営者は10年後や20年後に人口が具体的にどれだけ減るのかということを意識しながら、戦略的に事業を縮小して利益が出やすい体質にしていかねばなりません。そうしなければ、多くの地方企業が生き残るのは難しいでしょうね。大きな変化に気づいたときには、すでに手遅れになっているわけですから。
鈴木:そのとおりなんです。僕らがいつも考えているのは、10年後の顧客を予想しなければこれからの商売はできないってことなんです。10年後の社会はこう変わっているだろうから、10年後のお客さんのライフスタイルはこう変わっているだろうという予測をしながら、今から準備をしていかなければならないわけなんですね。
今やっていることが10年後のために、来年やることが11年後のためにって準備をしていかないと、何か変わっているぞって気づいてからやっても、たぶん遅すぎるし、投資額も必要以上にかかってしまうと思いますよね。
だから僕は社員たちに「それをやることによって、10年後はどうなっているの」っていつも聞いているんだけれども、そうすると考える社員はきちんと考えているわけで、「10年後はこうなるから、今はこうやるんです」っていう感じになってきているんです。だから、アントラーズは会社としてもこれからも面白いですよ。
高額年俸の選手も魅力的だが、スタッフを充実させる
ただ、うちの売上高では三木谷浩史さん(ヴィッセル神戸オーナー、楽天会長兼社長)みたいに、30億円でアンドレス・イニエスタみたいな選手を取ってくるという考えを持てません。「それなら経営の体制づくりをもっとしっかりやりましょう」ということになって、今年はクラブスタッフを新たに数名採用しました。高額の選手を採るお金はないから、スタッフを充実させようということになって。
中原:そこが親会社から自立した経営ができている、アントラーズ流というところですね。
鈴木:ところで、中原さんは日本の人口はどのくらい減ったところで落ち着くと思っていますか。僕は7000万人くらいで幸せに暮らせる国を目指すべきなんじゃないかと思うんだけど……。
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