言葉ができなきゃ「話にならない」グローバル

もう待ったなしのマルチリンガル化

コトバが「できる」ということの意味

外国語を習得する際には、到達したいゴールの設定を明確にすべきです。ゴルフで言えば、常時70台で回るような「片手シングル」のレベルまでいけば、誰に言わせても「うまい」となるのでしょうが、言葉の場合は習得の目的次第です。海外に友達を作ることが目的ならば、ネイティブの小学生レベルで十分でしょうが、ビジネスプレゼンテーションや交渉で成果を挙げることが目的ならば、ネイティブの大学院レベルのボキャブラリーと発音、そしてロジカルな文章構成力を身に付けなければなりません。

ビジネススクールでは、教授の一方的な講義はまれで、学生同士のクラス・ディスカッションが奨励されます。20年以上前、私が通ったピッツバーグ大学のビジネススクールのとある授業中、ひとりのインド人学生が発言をしました。インド人特有のまとわりつくような巻き舌の発音で、また、いかんせん話が長いのですが、我慢してよく聞いていると、ロジカルかつオリジナリティあふれる議論を展開しています。が、周りを見渡すと、クラスの多数を占めるアメリカ人たちはろくすっぽ聞いてもいません。続いて発言したアメリカ人が、きれいなアメリカ英語で教授の話と教科書を要約したような当たり障りのない話をすると、こちらには拍手喝采です。

グローバル社会は辛辣で不平等です。聞き取りにくい発音では、どんなによい内容の話でも聞いてすらもらえないと覚悟すべきです。「少々発音は悪くても、重要なのは傾聴に値する内容があるかどうかだ」と言う人もいますが、現実はそれほど甘くありません。

見方を変えると、アメリカは移民社会で多民族国家ですから、外見ではアメリカ人が否かの判断はできません。ほぼ唯一のよりどころはその人が話す言葉です。標準的なアメリカ英語で話ができれば、「この人はアメリカ人かな」と思ってくれますから、相手の対応が少しよくなります。

グローバル化が進む大学選び

昨年11月12日付Wall Street Journalに、アメリカで学ぶ外国人留学生の数が過去最高になったという記事が出ていました。The Institute of International Educationの発表に基づいた同様の記事は、China Dailyにも掲載されていました。

報道によると、2012~13年度にアメリカの大学・大学院に在籍する外国人留学生は前年比7.2%増の81万9644人で、出身国別にみると1位は中国の23万5597人(+21.4%)で、続いてインド、韓国となっています。中国人留学生の43.9%が大学院生です。逆にアメリカから海外へ留学している学生は2011~12年度で28万3332人。行き先は、1位がイギリス、2位がイタリア、続いてスペイン、フランスで、5位が中国(1万5000人)です。

私の知り合いの中国人にも、子どもをアメリカやイギリスに留学させる人が珍しくありません。最近は国内の厳しい大学受験競争を嫌って、高校から留学させるケースが増えていますし、幼稚園や小学校から国内のインターナショナルスクールに通わせる家庭も増えています。アパートのエレベーターで乗り合わせる中国人の子どもが英語で母親に話しかけ、母親も英語で応対している場面にも出くわします。ちょっと前までは、家族が英語で会話しているのは香港人と相場が決まっていましたが、今は大陸の中国人家族にも波及しています。

会社で受け入れたインターン学生が海外の大学院受験のために推薦状を書いてほしいと頼んでくることもしょっちゅうあります。英語で学生のためにいちいちカスタマイズした推薦状を書いてあげるのは面倒ですが、将来ある若者の頼みはないがしろにはできません。

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