日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。

反日デモによる日本企業へのダメージは甚大。中国市場における、今年10月の日本車販売(乗用車)は、前年同月比4割減となった(写真と本文は関係ありません)
日本勢は商売あがったり
この時期のスタートですから、まずは一連の外交問題がビジネスに与える影響に触れないわけにはいきません。日本のマスコミでは市民デモや工場操業停止、日本製品ボイコットなどは報道されていますが、実際のビジネスの内奥で何が起こっているか、深掘りされていない印象があります。
実際問題、被害は甚大です。私のビジネス領域である広告で言うと、以下のようなことが起きています。
(1)政府からの圧力:国営放送局CCTV(中央電視台)での日本企業のテレビコマーシャルのオンエア一方的停止やスポーツイベント会場での日本企業スポンサーの看板掲出禁止
(2)消費者からの圧力:ネット上で拡大する日本製品不買運動(ご丁寧に日本企業一覧・日本企業と関連の深い中国企業の一覧表付き)
(3)流通からの圧力:日本製品の取り扱い停止、店内陳列棚からの製品撤去
(4)タレントからの圧力:日本企業と契約しているタレントが中国人からの批判を恐れて広告出演を拒否
日本製品が買ってもらえない以上広告出稿もムダ打ちになりますから、日本企業側も広告活動を休止せざるをえません。私たちの商売もあがったりです。
トピックボードAD
有料会員限定記事
政治・経済の人気記事