中国人は相手を見て仕事をします。ビジネス交渉相手と初めて会ったとき、彼らはまず相手が「人として信用できるかどうか」を見極めようとします。具体的なビジネスプレゼンテーションや交渉は信頼関係が出来上がった後のプロセスです。
これは中国人同士でも同じです。
広大な中国では、出身地が違えば互いを理解し合うのも簡単ではありません。北京人と上海人、広東人、四川人は言葉も文化も価値観も異なりますから、初めて会うときの警戒心は外国人と対峙するときと大差ありません。彼らの会話は、まず「你是哪里人?(ご出身はどちらですか?)」から始まります。
中国人は「会社」より「人」
ですから、日本の皆さんが忌み嫌う(私も酒が弱いので毎回難儀しています)「乾杯」にもちゃんと意味があるのです。一緒に食事をしながら白酒(バイジュウ)で乾杯(グラスを飲み干すこと)を重ねて親しくなる。同時に相手が酔っ払ったところでホンネを引き出すという行為は合理的なものなのです。「酒を強要する野蛮な風習」という見方は当たりません。
日本人が配慮すべきは、そうした酒席で大人(たいじん)らしく振舞い、中国式の礼儀をわきまえて相手のメンツを立てることです。それと同時に、自分の身内に対しても抑制的かつ強力なリーダーシップを示すことも重要です。そうして、自分の能力と権限をアピールしつつ、相手と真摯に向き合う姿勢を貫くべきなのです。
中国人は会社より人を重視します。
日本では「○○会社の△△と申します」と企業を先に出してあいさつしますが、中国人は企業ではなく人を相手に商売し、信頼できる優秀な人とのネットワークを自分の財産としたいのです。会社ではなく個人を、それもなるべく偉い人(ビジネスの決定権があり社会的評価も高い人)と付き合いたい。これが中国人のホンネです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら