中国人の「クセ」を掴んで、利用せよ 中国流のルールを学ぶ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして、日本企業のみならず、すべての企業にとっての中国市場攻略のカギを握るのがブランド力の向上です。

今、中国企業はブランド戦争で攻勢に打って出ようとしています。もともとOEMから出発した中国のビジネスオーナーたちは、「事業発展には高付加価値戦略が欠かせず、そのカギになるのが製造・流通以上にブランド力である。グローバル企業との差はその一点に尽きる」ことを良く理解しています。

彼らは、収益性を高め、さらにグローバル市場へ進出するために、「自主ブランドの構築」に力を入れています。このあたりは、次回以降に詳細にお話ししていきます。

サムスンが中国で好かれる理由

現在の日中間の外交的対立と、経済活動への悪影響を少しでも軽減するためにも、ブランド思考は欠かせません。日本企業が中国人に好かれるブランドを創るには、以下の3つのステップが必要になります。

1)ブランド・アイデンティティ戦略としての「中国社会への同化」

2)ブランド・コミュニケーション戦略としての「企業哲学の伝達」

3)マーケティング戦略としての「商品を通した顧客との絆作り」

特に、ステップ1で「日本企業は何のために中国でビジネスを行うのか」「日本企業が中国に存在することは中国人にとってよいことなのか」に対する明確な回答を表明することが決定的に重要です。

たとえば、サムスンは中国版ホームページで「做中国人民喜爱的企业,贡献于中国社会的企业」と高らかにうたっています。「私たちは中国人に愛される企業、中国社会に貢献する企業になります」と約束しているのです。中国人は例外なくこのサムスンの宣言を好意的に受け止めています。

また、11月6日のChina Daily (新華社発行の英字新聞)に、独シーメンスが企業広告を出稿しています。同社のモーターが1896年から青島ビールの工場で使用されている事実を活用して、中国への貢献とパートナーシップを訴える広告です。キーワード満載のメインコピーをそのまま英文で紹介します。

「Brewing a long-term partnership and a life-long friendship. For over a century, Siemens has partnered with Chinese companies like Tsingtao to support China’s sustainable development.」

私たちは他国の市場で商売させてもらう立場ですから、これくらい気を遣ってもよいと思います。日本人は相手にあからさまに擦り寄るのを潔しとしない傾向がありますが、そんな内向きのルールにとらわれていてはいけないと思います。

岡崎 茂生 フロンテッジ ソリューション本部副本部長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おかざき しげお / Shigeo Okazaki

1981年東京大学教育学部卒業、1989年ピッツバーグ大学経営大学院MBA。1982年電通入社、2006年より北京駐在。北京電通 ブランド・クリエーション・センター本部長を経て、現職。30年におよぶ広告・マーケティング領域での経験をベースに、中国企業をはじめタイ、アメリカ、韓国、日本企業などを対象に幅広くブランド戦略コンサルティングを行なう。アジア各国およびアメリカの大学/大学院でのブランド講座・公開セミナー、フォーラムでのスピーチ、雑誌連載など多数。チュラロンコン大学商学部マーケティング学科客員准教授、南京大学ジャーナリズム&コミュニケーション学院客員教授、湖南大学ジャーナリズム・コミュニケーション&映像芸術学院客員教授。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事