そして、日本企業のみならず、すべての企業にとっての中国市場攻略のカギを握るのがブランド力の向上です。
今、中国企業はブランド戦争で攻勢に打って出ようとしています。もともとOEMから出発した中国のビジネスオーナーたちは、「事業発展には高付加価値戦略が欠かせず、そのカギになるのが製造・流通以上にブランド力である。グローバル企業との差はその一点に尽きる」ことを良く理解しています。
彼らは、収益性を高め、さらにグローバル市場へ進出するために、「自主ブランドの構築」に力を入れています。このあたりは、次回以降に詳細にお話ししていきます。
サムスンが中国で好かれる理由
現在の日中間の外交的対立と、経済活動への悪影響を少しでも軽減するためにも、ブランド思考は欠かせません。日本企業が中国人に好かれるブランドを創るには、以下の3つのステップが必要になります。
1)ブランド・アイデンティティ戦略としての「中国社会への同化」
2)ブランド・コミュニケーション戦略としての「企業哲学の伝達」
3)マーケティング戦略としての「商品を通した顧客との絆作り」
特に、ステップ1で「日本企業は何のために中国でビジネスを行うのか」「日本企業が中国に存在することは中国人にとってよいことなのか」に対する明確な回答を表明することが決定的に重要です。
たとえば、サムスンは中国版ホームページで「做中国人民喜爱的企业,贡献于中国社会的企业」と高らかにうたっています。「私たちは中国人に愛される企業、中国社会に貢献する企業になります」と約束しているのです。中国人は例外なくこのサムスンの宣言を好意的に受け止めています。
また、11月6日のChina Daily (新華社発行の英字新聞)に、独シーメンスが企業広告を出稿しています。同社のモーターが1896年から青島ビールの工場で使用されている事実を活用して、中国への貢献とパートナーシップを訴える広告です。キーワード満載のメインコピーをそのまま英文で紹介します。
「Brewing a long-term partnership and a life-long friendship. For over a century, Siemens has partnered with Chinese companies like Tsingtao to support China’s sustainable development.」
私たちは他国の市場で商売させてもらう立場ですから、これくらい気を遣ってもよいと思います。日本人は相手にあからさまに擦り寄るのを潔しとしない傾向がありますが、そんな内向きのルールにとらわれていてはいけないと思います。
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