中堅高校が「学校内個別指導塾」を導入するわけ 35校が導入、狙いはずばり「進学実績の向上」
「ピッ!」「ピッ!」
生徒たちは入退室管理の機械に専用カードをかざすと、カウンターの職員から座席指定を受け、自習室の方々に散っていく。大学入試が終わり3年生は来ないが、それでもわずか数分間のうちに20~30人が入室した。
3月中旬の午後3時過ぎ、ここは東京都中野区の私立東亜学園高等学校(共学)。野球やバレーボールの強豪校として全国的に有名だが、学力的には卒業生の2割程度が日東駒専、GMARCHに進学する、いわば中堅クラスの学校である。少子化に加え、2020年の大学入試改革を控えており、「何か特色がなければ生き残れない」というのが、東亜学園を含めた中堅クラスの学校の共通認識だ。
自習室内に個別指導塾の社員が常駐
東亜学園が動いたのは2017年4月。図書館に自習室を併設、仕切り付きの机やいすなど備品を一新し、新学期に合わせてリニューアルオープンした。
ハード面だけではない。自習室には有名大学の現役学生がチューターとして詰めていて、生徒の質問に答える。さらには、一人ひとりの学習計画に合わせ、専用ブースで個別指導を受けることもできる。自習室は通常は授業終了後、午後8時まで、夏休みなど長期休暇の時は午前7時30分から午後8時まで利用可能だ。
そこまで教師が付き合うの? とびっくりするかもしれないが、自習室内に東亜学園の職員が常駐しているわけではない。ブランド名を出していないのでわからないが、自習室を運営しているのは、個別指導塾TOMAS(トーマス)を展開するリソー教育の子会社、その名もスクールTOMAS社(以下、サービス名と区別するため、会社の場合は「社」をつける)なのだ。
東亜学園ではこの一連のシステムを「D-Project」(略してDプロ、Dはdreamの頭文字)と呼んでいて、スクールTOMAS社がDプロを一括受注している。なので、カウンター業務を含め、現場で管理運営をするのはスクールTOMAS社の社員で、学生チューター、個別指導の講師を手配し、自習用のプリントも用意する。まさに学校の中にTOMASがあるわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら