中堅高校が「学校内個別指導塾」を導入するわけ 35校が導入、狙いはずばり「進学実績の向上」

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カリキュラム型個別指導には、専用ブースで講師が白板を使って教えるリアル版に加え、パソコンを使ったオンライン版もある。講師である難関大学(特に理系)、医学部の学生は多忙なため、時間的制約で講師ができない恐れがある。大学の近くに講師用のスペースを用意し、そこでネットを通じて講義をすれば、大学生は高収益のアルバイトを逃さずにすみ、スクールTOMAS社は拡大する需要に追いつけるというわけだ。

いかにも今日的なサービスだが、元をたどるとオンライン版の“原型”がスクールTOMASを生んだともいえる。「20年くらい前、海外駐在の日本人子弟に日本の教育内容をインターネットで提供しようと考えた。家庭教師を雇って同じことをすると月30万円くらいかかったので商売になると思った」(岩佐相談役)。

ところが、通信速度の問題で挫折した。では集団指導の塾に入れてみたら、と塾経営者に持ちかけた。「経営者は乗り気だったが、現場の講師が抵抗してダメだった」(同)。そんなとき、ある人が「塾じゃなくて、学校に入れてみたら」とアドバイス、これがスクールTOMASの始まりだ。

ただ、学校はどちらかと言えば保守的な組織。塾でさえ講師がいい顔をしなかった。実際「外の人間が入ってくることに、最初は抵抗があった。2年くらいはぎくしゃくした」(目白研心の松下校長)。

ただ、近年問題になってきた「教員のブラック化」が追い風になっている。教師の朝は早いので、午後8時まで残業は難しい。だから「利用できるものは利用して、うまくアウトソーシングすればいいと言っている」(東亜学園の矢野理事長・校長)。

塾の主流は「集団指導」から「個別指導」へ

重要なのは上位の目的は何かをはっきりさせることだ。生徒の成長と教師のメンツのどちらが大切かはおのずから明らか。「教師によって個人差はあるが、シラバス作りなどで連係するなど、だんだんよくなってきている」(同)。先ほどの野球になぞらえれば、教師は監督として全体練習を指導し、スクールTOMASは個別の練習をサポートする、と役割分担をはっきりできればうまく回っていくようだ。

現在、塾業界の流れは集団指導から個別指導で、歴史のある集団指導塾でも個別指導部門を持たない塾はまずない。スクールTOMASの伸長を見て追随する塾が出てきて当然だが、その動きはない。理由はTOMASの個別指導は他塾の個別指導と違うからだ。

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