個別指導塾が投資ファンドに身売りしたワケ スクールIE、ファンドと組んで上場を目指す

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
やる気スイッチグループホールディングスの松田正男社長(左)と、アドバンテッジパートナーズの束原俊哉・エグゼクティブディレクター(右)(撮影:今井康一)

「わくわくしているぞ。今、一番『やる気スイッチ』が入っているのは俺だ」。そう豪快に話すのは、大きな体躯に白髪交じりの短髪とひげが印象的な、やる気スイッチグループホールディングスの松田正男社長だ。

同社は個別指導塾「スクールIE」を直営・フランチャイズで全国に展開しており、グループには幼児教育の「チャイルド・アイズ」、英語で預かる学童・幼児保育「キッズ・デュオ」などがある。

5月末にファンドの傘下入り

そんな松田社長自身の「やる気スイッチ」が入ったのは、5月31日に日系プライベート・エクイティ(PE)ファンドのアドバンテッジパートナーズによる買収が行われたためだ。これは同社にとって「第2創業」だという。

アドバンテッジパートナーズは特別目的会社(SPC)を設立し、やる気スイッチグループの全株式を数十億円で取得。その新会社に松田社長も一部出資し、社長職も続投する。特別目的会社には組織・人材コンサルのリンクアンドモチベーションも出資し、外国人材の採用・育成などで協業する(具体的な出資比率は非公表)。

やる気スイッチは、以前「拓人(たくと)」という社名で個別指導塾を展開していたが、2014年3月には松田社長が常々口にしていた「子どものやる気スイッチを入れる」という言葉を社名に冠した。

松田社長が集団指導の塾を開いたのは今から44年前の1973年。だが、1989年には個別指導塾へと転換した。世の中の変化を感じたからだ。

「ファッションも流行歌も、ひとりひとりの好みが分かれてきて、大きなヒットが出なくなった。教育も同じで、子どもも保護者も国(による一律の教育)ではなく、自分を中心とした教育を意識するようになっていた」と松田社長は振り返る。

「競争相手も増えるだろうな、と思った」と松田氏が言う通り、学習塾・予備校全体の市場規模は9,650億円(矢野経済研究所調べ、2016年度予測値)とやや頭打ちの傾向だが、個別指導塾のシェアはじわじわと増え続け、今や45.1%(同)に達している。

次ページ投資ファンドを組んだ理由は?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事