個別指導塾が投資ファンドに身売りしたワケ スクールIE、ファンドと組んで上場を目指す
「明光義塾」を展開する業界トップの明光ネットワークジャパン、「TOMAS」を展開するリソー教育、ベネッセホールディングス傘下の「東京個別指導学院」などがしのぎを削っており、集団指導が中心でも個別指導の部門を新設・強化している塾は数多い。
スクールIEの特徴は、徹底的に「個別」にこだわったシステムだ。毎日の生活や学習状況を診断する「やる気度診断テスト」、単元別の理解度が一目でわかるように図解した「成績アップシステム」をはじめ、これらをもとにした生徒ひとりひとりのオーダーメイドテキストを使っている。
これまでの経営はワンマンだった
少子化や嗜好の多様化などにより、個別指導塾でも生徒募集に苦戦している塾も少なくない。ところが、やる気スイッチグループは今でも堅調に生徒を増やしている。教室数はグループ全体で1317教室。スクールIEでは約6万人、その他では約2万4000人の生徒を抱える。
幼児教育に対する関心の高まりなどを背景に幼児教育部門も堅調に伸びており、直近のグループ売上高は328億円と、業界でもトップレベルに達した。松田社長は「少子化で困ったことはない」と言い切る。
これまで松田社長は「経営的にもワンマン、人間的にもワンマンでやってきた」。松田氏の教育に対する理念は明確だ。
1つめは、すべての子どもが持っているその子だけの「神様がくれた宝石」を見つけること。2つめは、夢や目標を達成するために「目に見えない階段」を一段一段、上っていくこと。3つめは、すべてをこなす総合力より、その人にしかできない能力である「自分力」を大切にすることだ。
「この思いを、もっと多くの人に知ってもらいたい。そんな時、ちょうどアドバンテッジパートナーズさんからお声がかかった。ただ、ここまで育てた会社をおカネに変えてしまうというのは納得できない。社員にも申し訳ない。そこでアドバンテッジパートナーズさんからの提案で“再出資”という形を取った」(松田社長)。
アドバンテッジパートナーズは今年で創設20周年を迎え、50社を超える投資実績を持つ。外食や流通分野での実績があるほか、外国語教育関連の企業にも投資したことがある。今回は同社から受け入れた資金を元に、教室網の拡大などに充当する。
アドバンテッジパートナーズの束原俊哉・エグゼクティブ・ディレクターは「教育サービスでは、価値観が一致している同士で手を組むというのが非常に重要。長年この仕事をしてきたが、今回は10年に1度あるかどうかの案件」と評する。
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