なぜ東大は「世界大学ランキング」が低いのか 人文系学部「廃止騒動」は世界に逆行している
「今後10年間で世界大学ランキングトップ100に、わが国の大学が10校以上入ることを目指す」――。2013年に閣議決定された政府の成長戦略の中で、この目標が掲げられてから3年が経過した。ただ、今年も目標達成にはほど遠い状況だ。
主要な世界大学ランキングはいくつかあるが、最も著名なのが英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(以下THE)社によるランキングだ。THEは英国の有名な日刊紙『Times』が発行している教育の専門誌。特に毎年秋に発表している「世界大学ランキング」の影響力は大きく、日本政府も指標の一つとしている。
日本の大学が抱える課題
日本ではベネッセコーポレーションが同社と提携するパートナー企業だ。今回、THE社は日本に特化した大学ランキングを2017年3月にも公表すると発表。そのためにマネージングディレクターであるトレバー・バラット氏、および編集長のフィル・ベイティ氏が来日。会見後、日本の大学が抱える課題を聞いた。
同社によれば総合ランキングは、①教育力(アンケートによる評判、教員あたりの博士学位授与数など)、②研究力(アンケートによる評判、研究者1人あたりの研究費収入・論文数)、③研究の影響力(論文の引用数)、④国際性(海外留学生や外国籍教員数の割合、国際共著論文の数)、⑤産業界からの収入(研究者1人あたりの産業界からの研究費収入)の5領域・13項目で算出される。
先月、発表した2016年版の世界大学ランキングでは、首位は英オックスフォード大学。2位は米カリフォルニア工科大学、3位は米スタンフォード大学と、9位のスイス連邦工科大学を除き、英米の大学が上位に名を連ねる。アジアでトップは24位のシンガポール国立大学。アジアで2位は29位の中国北京大学、3位は35位の中国清華大学となり、日本の東京大学はアジア4位(世界39位)だった。
東大には何が足りないのか。編集長のベイティ氏は「アジアの上位3大学に共通するのは、潤沢な資金力。国が大学への投資を増やしていることだ」と指摘する。
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