なぜ東大は「世界大学ランキング」が低いのか 人文系学部「廃止騒動」は世界に逆行している

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2015年6月には、文部科学省の国立大学向け通知に端を発する「文系廃止」騒動が注目を集めたが、ベイティ氏は「個人的な見解として、人文科学系学部の縮小や廃止は間違いだ」と断言する。

「世界的には、伝統的なリベラルアーツ(文系理系を区別しない幅広い教養)への回帰が見られる。英国でも、たとえば医学教育における人文科学(arts and humanities)が重視されている。骨折を治療できても、コミュニケーションや共感力が欠けていれば、よい医者とはいえないからだ」(同)

ランキングにくすぶる不満

編集長のフィル・ベイティ氏(左)とマネージングディレクターのトレバー・バラット氏(右)(撮影:今井康一)

「米マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学といった理工系に強い大学でも、人文・社会科学系の学部は優れた成績を収めている。たとえば気候変動のような問題に対処するには、科学だけでなく人間の行動に関する心理学なども重要な役割を担う。理系の学生も人文科学を学び、文系の学生も自然科学を学ぶべきだ。これが将来の不確実性に対処する強靱さを身につけることにつながる」(ベイティ氏)

THE社と業務提携するベネッセは「すべての大学について同じルールでランキングがされるので、有利不利という概念はない。ただ、日本の大学にとって英語という言語の壁はあり、そこをどう克服していくかが問われているのは事実」としている。

ランキング至上主義に陥ることは好ましくないとしても、THE社のランキングは海外から見た日本の大学の一側面を示しているとも言える。日本の18歳人口が減少する中、世界の留学生を呼び込むための努力は、ますます重要になるだろう。はたして、THE社が2017年3月にも公表する日本版大学ランキングはどの程度の影響をもたらすだろうか。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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