合格者数1位はどこだ、学習塾「神奈川冬の陣」 湘南ゼミ、臨海セミナーとステップが三つ巴
2月27日は神奈川県の県立高校の合格発表日だ。この日を期待と不安の入り交じった心持ちで待っているのは受験生だけではない。高校受験コースを持つ学習塾の関係者も落ち着かない気持ちでいるに違いない。すべてとはいわないが、合格実績が次の生徒募集に与える影響は小さくないからだ。
そして、神奈川県内の塾関係者の今年の注目は、ある学習塾が合格実績をどこまで伸ばすか。県中西部を軸に中学生主体の学習塾を展開している「ステップ」(龍井郷二社長)だ。ステップは、昨年10月31日に発表した2018年9月期決算短信の中で、これからも人口増が見込め、成長余地のある横浜、川崎の両市内でトップブランドになると宣言した。
進学実績でしのぎを削る「御三家」
東京都と比べ、神奈川県は有力な中高一貫の私立校が少ないため、受験の主戦場は中学ではなく高校、それも県立だ。必然的に学習塾は上位県立校への合格実績を潜在顧客である中学生と保護者にアピールすることが必要になる。
県下の進学塾としては1954年創業の老舗、「中萬学院」の存在感がかつては大きかった。しかし、近年は横浜、川崎に強い「臨海セミナー」(1974年創業、2018年3月期の売上高181億円、生徒数約5万人)と横浜に強い「湘南ゼミナール」(1988年設立、2018年5月期の売上高134億円、生徒数約3.5万人)、それにステップ(1975年創業、2018年9月期の売上高110億円、営業利益26.8億円、生徒数約2.7万人)の、言ってみれば「神奈川御三家」がしのぎを削っている。
旧制度の県立高校入試制度は細かい学区分けがされていて、各学区にトップ校(旧トップ校)があった。次ページ表を見てもわかるように、横浜市の旧トップ校と川崎市の多摩高校、横須賀高校以外では、ステップの実績は2社を圧倒している。横浜市の旧トップ校でもステップの地盤に近い希望ヶ丘高校と柏陽高校はステップが合格者数首位だ。
定員数の5割以上を占めている学校もあり(必ずしも進学者の5割以上ではない)、逆にそうした学校での伸びしろは限られるともいえる。県外に進出する臨海セミナー、湘南ゼミナールと違い、神奈川県内特化を明言しているステップが、2社の後塵を拝している横浜、川崎を攻めるのは当然といえば当然だ。
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