合格者数1位はどこだ、学習塾「神奈川冬の陣」 湘南ゼミ、臨海セミナーとステップが三つ巴

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ステップの「横浜・川崎攻略作戦」はこうだ。まず、この2019年の合格実績で表中*が付いた横浜市の旧トップ校9校合計合格者数で首位を獲得した後、2020年には湘南と並ぶ県トップ校の横浜翠嵐で首位になる。現在のところ9校合計の合格者数と横浜翠嵐への合格者数がともにトップで、挑戦状を突き付けられた格好の湘南ゼミナールは「ある程度棲み分けができていたところに、力のあるステップが横浜、川崎に本腰を入れるということで脅威を感じている」(中嶋歩常務)と身構える。

ただ、中学、高校受験塾は地域での評価が合格実績に大きく左右されるとは限らないのが難しいところ。「かつて、合格実績が下がったときも生徒数が大幅に減るということはなかった」(同)のだという。湘南ゼミナールの強みはQE授業(Quick Exercise、簡単な質問)で、講師はテキストを使わずに生徒にQEを出す。例えば英語の「3単現のS」。例文をいくつも出して、動詞にSが付く場合、付かない場合を考えさせる。「ステップの横浜シフトは脅威だが、やるべきことをやるしかない」(同)。

湘南ゼミナールとの差はわずか

それにしても、2018年10月末に目標を表明して、わずか1年強の2020年春に最終的な結果を出すことについて、性急すぎないかという見方は業界内にある。ステップは校舎を出しても派手な広告など打たずに着々と生徒数を伸ばし、地域でのシェアを上げていくというのが競合の評価だ。

昨年12月の株主総会でステップの龍井社長が「次の総会で社長を辞する」と発言して、株主のみならず幹部も驚かせたが、「横浜翠嵐での合格者数をトップにすることを花道に退任する」と見るのは的外れだ。創業者の龍井社長はまだ70歳。来年にCOOは譲ってもCEOを務めるのは確実だ。

IRを担当する同社の池永郁夫顧問の解説は極めてシンプル。「3年前の2016年度は、横浜地区9校の合格実績でトップの湘南ゼミナールと差は177人。これが翌年は87人に縮まった。さらに昨年は34人。普通に考えれば今年は抜けるのではないかと考えた」

2020年の横浜翠嵐で合格者数トップという目標について、「翠嵐は難関大合格実績の復活に向けてガリ勉化が進んだと思われて、高校生活を楽しみたいと思う中学生に敬遠された面がある。が、教師の働き方改革などで翠嵐以外の学校でも部活の制限などが進み、その差は小さくなっている。通学可能圏の当社生徒の受験が増えれば勝機はある」(同)。

27日には「神奈川冬の陣」の結果が出る。それを受けて、再度レポートしたい。

筒井 幹雄 東洋経済 記者

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つつい みきお / Mikio Tsutsui

『会社四季報』編集長などを経て、現職は編集委員。

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