――過去、ベトナムを訪問して印象的だったのは朝、子どもも大人も外で朝食を食べていたことです。逆に、あまり家で朝食は食べないと聞くのですが、どうしてですか?
グエン・バン・バーさん:ベトナム人は勤勉で、男女とも働くのが当たり前です。そこで、効率性を考えることが大切なのです。
ベトナムでは朝食にはフォー、おこわ、パンなどを食べます。フォーには野菜がたくさん入っていてとても栄養によいのですが、家庭で家族のためだけに作るのは大変です。それにベトナムの朝は早く、仕事は朝7時から始まって、夕方18時まで。毎日の仕事で疲れているのに、朝早くから朝食を準備するのは大変ですし、またフォーは100円ぐらいで安く食べられるので、朝は外で食べてから行くほうが効率的ですよね。
朝食は外で食べるのが当たり前なので、会社や学校で朝食を準備しているところもあります。家族で一緒に朝食を食べてから出掛けてもいいですし、それぞれに仕事場や学校に向かっていく途中で食べることもあります。
「食べられなくても、勉強させよ」
――朝、たくさんの人が外で食べている光景は活気があります。確かに効率的ですね。次にイメージするのは、ベトナムの細かい手芸品などから透けて見えるベトナムの方の手先の器用さです。あれだけの細かい作業を行うには集中力が必要ですよね。
グエン・バン・バーさん:中国などと比べると、ベトナムは国土的にも小さな国です。しかし、ベトナムの強みは手先の器用さ、勤勉さにあります。日本の電気部品のかなり多くがベトナムで生産され、それも多くが女性によって作られています。ベトナムの女性は強く、仕事をするのが当たり前。さらに手先が器用なので、細かい仕事が上手です。
ベトナムでは大きい産業はまだ成長している途中ですが、頭を使うものや精密な仕事が得意なので、ソフトウエア、IT系の産業が発展しています。そのあたりは日本の「もの作り」に通じるところがあります。
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