外国語が得意でも転勤NG?ベトナム人の謎

”効率”に関する、独特の感覚

しかし、全体的にはベトナムの人は転勤を望みません。その地域にずっと住み続けるのです。ベトナムには「安定しないと仕事はできない」ということわざがあり、賃貸住宅に住む習慣もあまりなく、小さくても家を買ってずっと住みます。最近はビジネスを広げるために都会に来る人も多く、マンションも増えてきましたが、それでもまだ家を買うことが主流です。

――では、日本の企業に勤めているベトナムの方を転勤させようとしたら嫌がられますか?

グエン・バン・バーさん:日系企業は収入がいいので、ある程度は仕方がないと理解して働いています。でも、できれば転勤はしたくないでしょう。

――日本では外国語ができれば海外に行って働くなど「地域外」で使う事を主に想定しますが、ベトナムの人は転勤は希望せず、外国語をベトナム内、それも住んでいる地域で使うために習得しているのですね。

その理由のひとつとしては、ベトナムでは3世代が一緒に住むことが多いからです。子どもの面倒は保育所や祖父母がみて、女性も働くのが当たり前です。

――ベトナム女性は強いと聞きます。

グエン・バン・バーさん:歴史的にベトナムの女性は働き者です。力が必要な仕事は男性の職場ですが、繊細な作業や、たとえば教師はほとんどが女性です。男性に比べ、女性のほうが優しいので学生が話をよく聞くのです。

街はきれいなのに、交通マナーは守らない?

――ベトナムでは、街中でもあまりゴミがなくきれいなのですが、ひとつ不思議なことが交通マナーです。ベトナムでは赤信号でも進入してくる車がいますし、道路を逆走しているバイクもよく見かけるのですが、どうしてでしょう?

グエン・バン・バーさん:ご理解いただきたいのはベトナムの歴史と、この近年の急激な成長です。ベトナムは農業国で、もともと移動は水牛を使っていたため、(道路の)右や左は関係がありません。どこを歩いてもよく、信号などの「交通ルールを守る」という習慣がないのです。

20年ほど前まで子どもは靴も履かず、外でもパンツ1枚だけで、裸足で水牛と一緒に遊んでいました。そんな環境では交通ルールなどは必要なかったのです。

ところが、ベトナムは急激に成長しました。農村から来る人はそれまでの生活の中で交通マナーや安全について学んだことがないので、知識が不足しています。信号の普及が急激に進み、発展したため、教育が追いついていません。日本のODAのおかげもあってインフラが先に整備され、後から教育が入ってきているのです。

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