外国語が得意でも転勤NG?ベトナム人の謎 ”効率”に関する、独特の感覚

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――ベトナムの方はとてもまじめで、教えたことは次の日には覚えてきているとよく聞きます。

グエン・バン・バーさん:ベトナムでは何百年も前から「食べられなくても文字を勉強させよ」と言われています。大学への進学や留学が多いのはそのためです。留学をするためには外国語を覚えなければならず、外国語が普及しています。今、特に経済がオープンになって、新しいものをどんどん導入しているので、人々の意識はとても高いです。

――ホーチミンはフランスの影響も強いのでフランス語も普及していますか?

グエン・バン・バーさん:ベトナムは100年ほどフランスの植民地で、フランス語が多かったのですが、次の時代はロシアがパートナーになり、ロシア語が普及しました。その後、中国語が普及した時期もあります。近年でいくと、1990年代はアメリカやイギリスといった資本主義国との接点が増え、そこからは英語がいちばん人気があります。

20年ほど前は、日本語を学ぶ人は少なかったのですが、今はたくさんいます。ベトナムで日系企業に勤めるためです。英語ができればどんな国の企業でも働けますが、日本語が使えれば給料が高い日系企業で働けます。日本は治安がいいですし、人もよいので、安心して子どもを送り出せる国として、留学させたい人も多くいます。日本語は習得が簡単な言語ではないので、チャレンジして習得した人は頭がいい人ですよ。

――日本語を話せる人を探せば、優秀な人に会えるということですね。

グエン・バン・バーさん:はい。ベトナムは今、人材育成を大切にしています。ベトナムがこれから目指しているのは、安いものを大量に生産するのではなく、手先の器用さを活かして、日本のようにハイクオリティのものを生産する国になることです。日本と意識が近いので、ベトナムは日本のパートナーに向いていると思います。

基本的に、転勤はイヤ

――ホーチミンとハノイではビジネス文化は異なりますか?

グエン・バン・バーさん:違います。背景には歴史的な経緯があります。

1975年のベトナム戦争のとき、南はホーチミンを中心としてアメリカ系の経済、市場経済でした。それに対して北のほうは共産党、社会主義的な経済環境にありました。その後、南北が統一され、社会主義国として発展しましたが、経済は南のほうが中心で、市場経済でビジネスが進んできました。

また、南はコメやシーフード、果物の生産地が集まるメコンデルタがあります。物があふれているのでお腹はいつも満たされており、またおカネを使ってもすぐに入ってきますので、南の人はおカネはあるだけ使ってしまいます。南部の人は楽天的です。

それに対して北は台風などがあり、いつも将来に備えて貯蓄します。北部の人は中国と戦争をしてきた歴史があるので、慎重に物事を考え、今日のためではなく、何十年先を見越して行動します。近年、ベトナムに外資系企業が多く入ってくるようになり、また北の人が南でビジネスを始めることも増えてきたため、北と南が近づいてきました。北の人が南に行くと、深く考えておカネを大切にするので、成功をすることが多いです。

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