子どもの「突飛な夢」も支えるハワイ流子育て 家族で人生計画会議に取り組む一家の場合

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シエラさんは見事3000本の歯ブラシの寄付を取り付け、その後は歯の磨き方のビデオを作るなどして、ネパールの子どもたちに歯ブラシと、歯磨きの大切さを伝えることに成功した。

シエラさんの発案で、ネパールに3000本の歯ブラシ、フロス、歯磨き粉を寄付した際の写真。シエラさんは学期末テストのためハワイに残り、ビデオを作ってそれをネパールの山奥で上映した(写真:ワカイ氏提供)

現在19歳になったシエラさんは、親元を離れ、本土カリフォルニアの大学に通っている。進みたいと思っているのは医療分野だ。

夢は途中で変わってもかまわない

「スパイはいつの間にか諦めたようで(笑)。今は医師を目指しています。高校生のときの人生年表会議で目標設定を変えて、今は、夢に向かって進んでいますね。でもまたこれが途中で変わったとしても、私たちは別にかまわないと思っています」とミキさんは言う。

シエラさんの夢の変更に、両親の仕事や、ネパールでのボランティア活動が与えた影響は大きいだろう。でも両親は決してそれを娘に強いたりはしなかった。

「たくさんの価値観や世界を見せてあげることは、親が子どもに与えられる唯一のギフトです。世界を知って、どんな経済的な違いがあるのかを知り、グローバルな視点を持つことが若いうちにできたら、そうした経験は大きなアドバンテージになります。そのうえで、子どもが最終的にどんな選択をするかは子どもに任せたらいい。

私たちはどんな選択でも、彼女の選択なら、きっと正しいはずだと信頼しているんです」(グレンさん)

「結局、スパイでも医師でもなんでもよくて。何かゴールを持ってほしい、というのが私たちのいちばんの願いだったのかもしれません。自分が立てたゴールに向かって何ができるのかを考えたときに、明日やるべき目標が見える。目標を実行すれば、社会にもインパクトが与えられる。そのことを知ってもらいたくて会議をしてきたのだと思います」(ミキさん)

親が子どもに、言葉と態度でどう伝えるのがベストなのか。ワカイ家の長年の家族会議には、そのバランスのヒントが散りばめられていた。

玉居子 泰子 編集者、ライター

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たまいこ やすこ / Yasuko Tamaiko

1979年生まれ。東京外国語大学卒業後早川書房に入社。主に翻訳書籍の編集を行う。 2005年にベトナムに移住すると同時にフリーランスに。編集・翻訳・ライター業のほか企業通訳を務める。2007年帰国後もフリーで活動を続ける。テーマは、育児・教育、妊娠・出産、育児の悩み、家族のコミュニケーションなど。主な寄稿先は『AERA』、『東京人』、『クーヨン』、『FRaU』、日経DUAL、JBpress、soar-worldなど。過去の仕事一覧はこちら
 

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