「事前に『今度の土曜日の夜10分だけ話せる?』と確認をとって話すんです。プロジェクトはどう進めればいいか、何を調べたかをお互いに出し合う。家族会議というより、本当に会社の会議みたいですね(笑)。とてもロジカルな話し合いをしています」(ミキさん)
ワカイ夫妻は仕事とは別に、ハワイ国内や太平洋諸国、アジア地域の途上地域をサポートするNPO事業や医療事業拡大のボランティア活動を行うようになる。夫妻のこうした支援事業に、次第にシエラさんも参加するようになった。
会議は基本的に子どものアイデアを聞く形に
ある年、両親が医療ボランティアでネパールに行くことが決まったとき、13歳だったシエラさんは「ネパールの子たちに歯ブラシを3000本集めて送りたい」と言い出した。ネパールでは歯ブラシが不足し、虫歯で歯を抜かなくてはならない子どもたちが多いことを、両親の仕事を通した歯科医師会の啓発ビデオを観て知っていたからだ。
「彼女はその期間、学校のテストで一緒にはいけない。だったらどうやって集めるか、私たちが集めた歯ブラシをどこに届けたら子どもたちに配布できるかまで次の会議までに考えてね、と。会議では親も調べたことを伝えたりはしますが、基本は彼女のアイデアを聞く形でしたね」(ミキさん)
「ある時娘が、今度行われるらしい歯科医師会の会合に行って、歯ブラシの寄付を募りたい、と言い出したんです。だから学校を休みたい、と言うので『わかった』と。そのときは私が連れて行きました」(グレンさん)
事前にパンフレットを作り、医師たちに寄付を募ったシエラさんだったが、最初はほとんど相手にもされなかった。
「誰一人説得できず、娘は途中で泣き出していました。私は、口は出さず後ろで黙って見守っていました。それでも諦めず、交渉を続けていると8件目くらいでようやく共感してくれる人が出始めたんです」(グレンさん)
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