子どもの「突飛な夢」も支えるハワイ流子育て 家族で人生計画会議に取り組む一家の場合

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「例えば、娘が学校にお弁当を持っていくのを忘れたときに私が届けようとすると、夫はすごく反対しました。『忘れたのは彼女なんだから、どうするかは自分で考えさせたらいい』って。でも私は、『午後、空腹のままどうするんだろう?』って心配で、職場からピザを学校に届けたりしてしまう(笑)。それがなぜいけないか、どう自分で解決するべきかなどは昔から娘を入れて3人でよく話しましたね」(ミキさん)

子どもに問題が起きたときに、親はついなんとか解決してあげようとしてしまう。しかし「子ども自身に失敗の責任を取るチャンスを与えるほうが結果その子のためになる」というのが、グレンさんの、そしてワカイ家の共通認識だ。

子どもが将来、自分で考える力をつけることが、家族会議の大きな目的であったワカイ家。そのために何をすればいいか。ロジカルな思考を伝えるために、ワカイ家では節目に応じて、「人生年表会議」が行われた。

夢のために今何をしたらいいか考える

「人生年表を作る会議は、最初私と娘とで始めたことだったんです。まだ娘が3歳頃から。『大きくなったらどうなっていたい? 何になりたい?』とかそういう話をするときに、長い紙を持ってきて、将来のゴールを書き込み、そこからじゃあ、今は何をしたら夢に近づくかな、ということを話し合うというものですね」(ミキさん)

3歳の女の子に将来の夢を聞けば、帰ってくるのはどんな答えだろう。

「いや、ごく普通のことですよ。そう、お姫様になりたいとか、イギリスの大きなお家に住みたいとか(笑)。でも、そのときに『そっか、外国に住みたいなら、どうしたらいいかな?』と聞くと、幼くても自分の言葉で説明するんですね。

『お友達をいっぱい作ったら、いつかイギリスにも行ける』と言えば『じゃあ、お友達をいっぱい作るにはどうすればいいと思う?』と聞く。『うーん、幼稚園に行く』など。夢のために、“今”何をすればいいかを自分で考えさせてみる。最初はそういう小さなことからの繰り返しでした」

カレンダーの裏紙を使って書き込んだライフプランシートの例。目標が変わってもかまわない。右端のゴールに向かって遡(さかのぼ)りながら、節目の年齢ごとの目標設定をしていく(写真:ワカイ氏提供)

親から勉強をしなさい、こういう道に進みなさいと言われることを嫌い、15歳で単身アメリカに留学し、自分で道を選択してきたミキさんだからこそ、幼い頃から娘には自分で考える癖をつけてほしかった。その意見にグレンさんも共感したのだ。

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