小学校時代、娘のシエラさんは「CIAに入りたい」と言うようになった。年表を作り直し、「そのために大学院にも行きたいし、外国語を複数勉強したい」「目指す大学や高校に入るためには、小学校でも成績もオールAを取る」と自分で目標を設定した。両親は自主性に驚きながらも、娘の夢に戸惑いを抱いたという。この夢は中学を卒業する頃まで続いた。
「『え、スパイ!?』って思いましたよ。危険だし、そのために勉強を頑張るの?って。なりたい理由が『いろいろな国に行けて、みんなが知らないことを知れるから』というもの。親からしたら、まだまだ子どもっぽい意見だと思いました。それでも私たちは、決して『スパイなんてやめなさい』とは言いませんでした」(ミキさん)
子どものゴールを全力でサポート
「子どもがのめり込んでいるときに、反対するのは逆効果。娘は中学生のときにはかなり真剣になっていて、私が仕事でワシントンDCに行くたびに『スパイ博物館であの本を買ってきてほしい』と頼まれたり、CIAの講習会に一緒に参加したりしたこともありました。
親にできることは、子どもの道を決めることじゃなく、なんでもいいから決めたゴールを全力でサポートすることだけです。そして、もしその道から落ちたときに助けてあげるセーフティーネットを敷くこと」(グレンさん)
とはいえ、子どもの抱く夢と親がいいと思う目標が異なる場合、ただ応援し続けていればいいのだろうか?という疑問も湧く。「セーフティーネットを敷く」とは? ワカイ夫妻がとった行動は、反対する代わりに「違う世界を知ってもらう」ことだった。
議会が始まると毎日深夜にならないと家に帰れなくなるほど多忙を極めるグレンさんと、自身でビジネスを行っているミキさん。そんな両親だからこそ、短い10分ほどの時間や朝食時には、自分たちの仕事の話をシエラさんにも聞かせ続けた。
「自分たちの仕事のことは短い時間でも娘に伝え、『あなたはどう思う?』と聞いていました。また、海外旅行をする際には東南アジアを巡ったり、学校に行けない子どもたちや、自分たちとは違う暮らしをしている人たちと接する機会を持っていました。娘も次第に、自分が世の中で何ができるのかを考え始めたようでしたね」(ミキさん)
中学時代からボランティアに興味を持ち、また起業までしたシエラさん。その度に、家族でプロジェクトを作り、目標達成について10分ほどの会議をたびたび開いた。
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