筆者は職業柄、紙の雑誌をまだ何冊か読んでいるが、近年電車の中で雑誌を読んでいる人をほとんど見かけなくなった。また、各誌の特集の組み方を見ると読者の高齢化が進んでいることがよくわかる。
『週刊現代』や『週刊ポスト』といった主として男性向けの総合週刊誌の特集は、数年前までは「60歳を過ぎてもセックス!」といったものが多かった。だが、最近は、「死ぬ前にしておくべき準備」、「死後に必要な手続きあれこれ」といった人生の終末期に関連するものがめっきり増えた。
主要読者にとって「性」よりも「死」の方が身近になりつつあるのだろう。人口が多いことで知られるかの団塊の世代も2025年には、みな後期高齢者(75歳以上)になる。
実は高齢でもお金の運用リスクを取ってよい
さて、社会の高齢化とともに問題になるのが、高齢期のお金の運用だ。一般に、高齢になると株式のようなリスクを取る運用対象への投資意欲が減退する。確かに、高齢になると、投資で生じるかもしれない損失を「働いて取り返す」ことが難しくなるから、リスクを取りにくいという側面はある。
しかし、高齢になると将来必要な生活費などの費用が具体的に読みやすくなるので、「ここまで損をしても大丈夫」という限界をはっきりさせたうえで、案外大きなリスクを取ることができる場合が相当にあるはずだ。
また、高齢者本人がリスクを嫌うことのほかに、相続の際に、相続人の側が、有価証券などをいったん現金化してしまう場合がある。
この際に、本人にとって適切な運用状態をすぐに作るといいのだが、しばらく預金などにお金を寝かせてしまうケースが少なくない。もちろん、個人差が大きな問題なので、リスクを取った運用が不適切な場合もあるのだが、多くは、高齢になったからといってリスクを取る資産運用から引退するのは「もったいない」。
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