中原:当時は親会社の広告部門と見なされていたJリーグのチームでは、アントラーズは稀有な存在だったのですね。
鈴木:そうなんです。Jリーグのスタート時点では10チームあって、今では55チームあるんだけれど、経営的に自立できているクラブなんてほとんどないですよね。
やっぱり日本のプロスポーツはその親会社がある程度補填して成り立っているという現実があります。
ただ、実際は小さなクラブの中には自立できているところもありますよ。地域の活性化のために始めたのでしょうが、稼げる範囲でしかやってないわけですから。
世界のトップと互角に戦うための「売上高100億円」
中原:小さいクラブは背伸びをしなければ、縮小均衡はあるというのですね。ただ、それではJリーグの1部で勝つのは至難の業ではないですか。
鈴木:そのとおりです。Jリーグのトップリーグで親会社から自立して優勝しようと思ったら、売り上げを上げていくしかない。ただ、今のJ1のチームの平均の売り上げは30億円までは届いていません。僕らは世界のトップチームと互角に戦うためには、将来的に100億円に到達しなければならないと思っています。
だから、僕らは売り上げをいかにして上げていくかっていう作業を一生懸命取り組んできたわけで、今までは60億円台が最高だったところを、今年度は賞金が多かったこともあって初の70億円台を達成することができる見込みです。
中原:大変遅れてしまいしたが、AFCチャンピオンズリーグの優勝、FIFAクラブワールドカップのベスト4、おめでとうございます。賞金はどれくらいだったのですか。
鈴木:ありがとうございます。AFCチャンピオンズリーグの優勝で約4.5億円、クラブワールドカップのベスト4で約2.3億円の賞金だったんですが、実は前者などはJ1のリーグで優勝(3億円)するよりも賞金が多いんですね(笑)。いずれにせよ、創設25年を期にいろいろなことをもう1回考え直したときに、僕らの成長というのはどこを目指すべきなのかっていうところの中で、売り上げ規模でいうと、100億円を目指そうということになったんですね。
そうであるならば、「数あるタイトルの中でも、こことここは勝たなければならない」っていうことになって……。僕らがお客さんの興味を引くために頑張る作業といったら、まず勝たなければならないっていうのが基本にあるわけです。
中原:そこでマーケティング(市場開拓)が重要になってくるわけですね。どのようなマーケティングを行っているのでしょうか。
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