アントラーズが茨城の田舎で70億円も売る理由 絶対に地方企業の「経営の教科書」にすべきだ

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デジタル投資をする、デジタルを駆使するとはどういうことか。例えば、携帯電話って次は5Gでしょ。Gってジェネレーション(世代)でしょ。最初の携帯から4Gまで何年で進化したんですかね?

中原:1Gからの歴史は承知していませんが、3Gが誕生したのが2000年代前半、4Gが2012年ですから、3Gから4Gに進むのに10年はかかっていないですね。

鈴木:僕らが人間の進化で見るジェネレーションっていうと、100年とかそういう単位で考えるじゃないですか。でも、今の話でいくと、携帯の通信環境の変化って10年足らずで1世代進んじゃったわけだから、それを考えると僕らも同じように進化しないと変化のスピードについていけない、って計算になるわけなんですね。

僕がいくら頑張ったところでもうすぐ60歳になるので限界があるわけで、新しい人材を入れて会社を成長させていかないと、いずれは乗り遅れてしまう。少しずつ投資をして人材を育てていかないと、時代の変化に対応できなくなってしまうんですね。

デジタル時代は「距離は関係ない」

中原:変化に気付いた時に適応しようと思っても、すでに手遅れになってしまいますからね。

鈴木:そう。気づいてからでは適応できない。僕らはお客さんを相手にしていかねばならないので、変化していくお客さんのニーズに対して手を抜いてはいけないんです。僕らはコンシューマービジネスのど真ん中にいるわけで、「アントラーズは嫌いだ」って言われたらおしまいなわけですからね。

今までの商売って、とくに小売業なんてものはやっぱり商圏でものを考えるから、距離って絶対的に大事な話だったじゃないですか。ところが、デジタルを使うと、距離は関係ないってことがわかってきて、アントラーズを応援に来てくれる人だとか、グッズを買ってくれる人って、実は商圏をはるかに超えているわけですよね。答えになっているのかな(笑)。

中原:十分になっています(笑)。鈴木さんの話が、多くの地方の企業経営者にとって行動を起こすきっかけになってほしいと思っています。

中編に続く。次回「アントラーズがサッカー場の席数減を考える訳」は4月13日、「アントラーズが「観光業」までやってしまう理由」は同14日掲載の予定です。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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