鈴木:まず、カシマスタジアムの観客数は平均して2万人なんですが、うちのお客さんっていうのは、実は半径30キロのマーケット内から来ているのは全体の25%しかいないんですよ。マーケット外の茨城県や北関東から来ているのが25%、東京23区などの首都圏から来ているのが50%という構成なんですね。
なぜ首都圏から半数ものお客さんが来てくれるかっていうと、やはり強いチームに魅力があるから来てくれているんだと思います。だから、僕らは徹底的に勝ちにこだわってやってきたっていう結論になるんですね。
茨城まで時間とお金を使って来てくれるお客さんがいる。帰りの渋滞に巻き込まれて、すごいストレスをためて帰るお客さんがたくさんいる。だから、できるだけ勝って、気持ちよく帰ってもらいたいですよね。
「倒産しないためには、勝つしかない」という思考回路
中原:マーケットの外からお客さんが呼べているから、経営が成り立っているというわけなんですね。
鈴木:そのとおりです。でも、アントラーズができた25年前にはそんな発想はまったくなかった。親会社の住友金属工業(当時、現在の日本製鉄)や当時の鹿島臨海工業地帯に進出した企業の方針に沿って、町おこしをしようと始まったクラブチームですから。
そうした経緯があるので、「住友金属や鹿島進出企業がしっかりとチームをサポートしてくれるだろう」と思ってスタートしたら、意外にも「早く自立しなさい」と言い出したわけです。
「イニシャルコスト(初期費用)は出すが、ランニングコスト(運営費用)は何とか自分で稼げるようになりなさい」と。いきなり厳しい現実を突きつけられて、それでは何とか稼ぐしかないよねってことになって……。
秘訣といえるかどうかわかりませんが、25年間つねに「明日、潰れるかもしれない」と思って危機意識を持ってやってきました。「潰れないためには、勝つしかない」「勝つためには、何をすべきか」、アントラーズはそういった思考回路が身に付いているクラブチームだと思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら