中国発「客単価10万円」アパレル起業家の奮闘 ヤングリッチ向けファッションを手掛ける男
アパレル業界の競争は激しさを増している。日本だけでなく中国も、とくに実店舗での販売は難しくなっており、消費者の嗜好が多様化する中でリピーターの確保は難しくなる一方だ。
さらに、若者の起業家といえば、日中ともにIT系が多い。激しい技術の変化が成長とビジネスチャンスをもたらすからだ。
しかし、あえて厳しいアパレル業界に進出し、実店舗重視という方針を徹底した若い起業家が中国にいた。緻密なターゲティング戦略で、30歳の若さでメンズファッションブランドを創業。1年も経たないうちに、中国の国内で直営店を6店舗展開し、経営も順調に推移しているようだ。
有名人による雑誌での紹介、美しすぎる店舗デザインなどが話題を呼び、口コミ効果もあって、とくに中国の若い富裕層(Young Rich=ヤング リッチ)の間で人気上昇中だ。そして、この起業家は日本の百貨店やファッションブランドにも関心が高く、将来の夢は日本のファッション企業に比肩する企業になることだという。
今回は、中国発の若き起業家の物語、そして、そこから見えるまだまだ眠っている中国の消費市場、また日本企業にとってのヒントを紹介したい。
これまでにないターゲティング戦略
筆者がいちばん感心したのは、この起業家のターゲティング戦略だ。
名前はGary(ゲイリー:若い中国人はビジネスでは英語の名前を使うのが一般的)。
裕福な家庭で育ち、バージニア大学(アメリカではUCLAに次ぐ公立2位)を卒業した、文句なしのエリートだ。
中国で一時就職した彼が、社会人になっていちばん戸惑ったのは、「ビジネスの場面で何を着ればいいのか」ということだった。
高級ブランドで最もフォーマルな服を仕立てたが、ボディーガードのような服装になり、違和感を覚えたそうだ。
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