中国発「客単価10万円」アパレル起業家の奮闘

ヤングリッチ向けファッションを手掛ける男

「GENTSPACE」1号店の外観。2017年に創業した中国の若き起業家Garyの戦略に迫った(筆者撮影)

アパレル業界の競争は激しさを増している。日本だけでなく中国も、とくに実店舗での販売は難しくなっており、消費者の嗜好が多様化する中でリピーターの確保は難しくなる一方だ。

さらに、若者の起業家といえば、日中ともにIT系が多い。激しい技術の変化が成長とビジネスチャンスをもたらすからだ。

しかし、あえて厳しいアパレル業界に進出し、実店舗重視という方針を徹底した若い起業家が中国にいた。緻密なターゲティング戦略で、30歳の若さでメンズファッションブランドを創業。1年も経たないうちに、中国の国内で直営店を6店舗展開し、経営も順調に推移しているようだ。

有名人による雑誌での紹介、美しすぎる店舗デザインなどが話題を呼び、口コミ効果もあって、とくに中国の若い富裕層(Young Rich=ヤング リッチ)の間で人気上昇中だ。そして、この起業家は日本の百貨店やファッションブランドにも関心が高く、将来の夢は日本のファッション企業に比肩する企業になることだという。

今回は、中国発の若き起業家の物語、そして、そこから見えるまだまだ眠っている中国の消費市場、また日本企業にとってのヒントを紹介したい。

これまでにないターゲティング戦略

筆者がいちばん感心したのは、この起業家のターゲティング戦略だ。

名前はGary(ゲイリー:若い中国人はビジネスでは英語の名前を使うのが一般的)。

2017年に上海で「GENTSPACE」を創業したGary氏(写真:Gary氏提供)

裕福な家庭で育ち、バージニア大学(アメリカではUCLAに次ぐ公立2位)を卒業した、文句なしのエリートだ。

中国で一時就職した彼が、社会人になっていちばん戸惑ったのは、「ビジネスの場面で何を着ればいいのか」ということだった。

高級ブランドで最もフォーマルな服を仕立てたが、ボディーガードのような服装になり、違和感を覚えたそうだ。

次ページ若い中国人男性が抱いている悩み
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 「合法薬物依存」の深い闇
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
変わる日立<br>IoTで世界へ挑む

日本を代表する巨大総合電機企業が今、「脱製造業」ともいえる動きに舵を切っています。攻めの主役は「ルマーダ」。社長の肝煎りで始まった独自のIoT基盤です。データを軸にGAFAと組むことも辞さないという改革の成否が注目されます。