中国発「客単価10万円」アパレル起業家の奮闘

ヤングリッチ向けファッションを手掛ける男

このような経験は、Garyだけではなく、多くの若い中国人男性が抱いている悩みでもある。訪日中国人が増えて中国人が身近になってきていることもあり、筆者が日本人からよく聞かされるのは、「中国人の若い女性はおしゃれな人が多いが、中国人男性は……」ということである。

確かに、女性ファッションブランドは選択肢が多く、国内外問わず購入できるので、中国の若い女性のファッションセンスはトレンドとシンクロするのが速い。

一方で若い男性はそこまで幸運ではない。中国の職場の服装は比較的にカジュアルで、スーツで通勤するのは、「保険会社の営業か葬儀社の人」ぐらいと揶揄される。海外との取引の多い人に言わせれば、「スーツで来る人の9割は日本人」らしい。こんなこともあってかスーツで通勤するのに違和感があるのが中国人男性だ。

また「TPOをわきまえた服装」はまだ浸透していない。とくに中高年男性は、世界共通の服装感覚を養う機会がなかった。日本では想像しがたいが、デニムで結婚式に出席することも中国では珍しくない。

若い男性たち、とくに消費力が高いYoung Richたちは、自分の父親の世代のようなダサい服(おそらく日本人が中国人でいちばんよく思い浮かべる鮮やかな色のTシャツにスラックスにスニーカー)を着たくないが、買おうとしても、自分の趣味やTPOに合うものがなかなか見つからない。

Garyが見つけた新しい市場

そして、バブル時代の日本で人気だったコムデギャルソン、BAPE、ヨウジヤマモト、シュプリームなどは今の中国のYoung Richの間ではやっている。都内でこれらのブランドショップに行くと、半分以上が中国人男性に占められていることも少なくない。

ただ、これらはストリートファッションであり、ビジネスのシーンでは適切ではない。今の中国では、若い男性にはフォーマルなスーツかアウトドア、またはストリートファッションという選択肢しかないともいえる。いったい、何を着ればいいのだろうか。

Garyは自分の悩みから調査を行い、新たな市場を見つけた。

それが「men」×「Young Rich」×「business smart causal」だ。

店内の商品陳列も高級感が漂う(筆者撮影)
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