中国発「客単価10万円」アパレル起業家の奮闘 ヤングリッチ向けファッションを手掛ける男

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つまり、若い男性が求めているビジネスシーンでも着られるカジュアルな服装である。

彼は、自分のターゲットを、「35歳以下のYoung Rich向けのビジネス寄りのスマートカジュアル」とし、2017年4月に「GENTSPACE」1号店(公館店)を、上海の最もおしゃれで情緒を味わえると言われる旧フランス租界でオープンした。現在は上海に4店舗、北京に1店舗、重慶に1店舗展開している。

実店舗にこだわる理由

中国ではオンラインショッピングが日本よりはるかに発展しているが、実は最近実店舗への注目が高まっている。

そんな中で「GENTSPACE」が好調なワケは実店舗へのこだわりにある。

店舗ごとにテーマと特徴が異なり、お金と時間をかけて丁寧にデザインする。1号店の中には、廃棄されていたクジラの置物を拾ってきて飾っている。衣類だけではなく、イタリア、イギリス、フランスなど世界から集めた雑貨も販売する。

クジラも飾られており、特徴のある店内だった(筆者撮影)

日本では一般的だが、中国ではまだ新しい「ライフスタイル店舗」を作り上げたのだ。Garyは、「ビジネス寄りのスマートカジュアルと言っても、服装の試着が何より重要なので、絶対実店舗を重視する」と話す。

ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)を重視し、イタリア製の生地を使い、自社チームでデザイン、生産し、スタイリストが組み合わせをして展示。ほかにも雑貨や、ライフスタイルを表す楽しいディテールもたくさんある。

Young Richたちは、実店舗でお気に入りのセットを試着し、サイズの調整をしたり、おしゃれな空間を楽しむ。約15万円するようなコーディネート一式をそのまま買うお客も多いようだ。

平均客単価は約10万円と聞くと驚くが、Young Richにとっては“とても手頃な価格”だという。

Garyは「日本のファッションも旅行も大好き」なので、毎年必ずやって来る。

伊勢丹の陳列にいつもわくわくするし、BEAMS、TOMORROWLAND、ESTNATIONなどのセレクトショップが好きなのだ。

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