それに対して年末年始の挨拶には、年を重ねながら、長期にわたって「ご縁を結んでいく」といった意味がある。ビジネスであれば、長きにわたるパートナーとして付き合っていきたい、仕事を超えた付き合いに発展させていきたいといった願いになるだろう。
「年末年始の某コンビニの本部の受付は挨拶の業者で大行列。けっこう早めに来たつもりでも並びますね」(メーカー勤務・30歳)
「挨拶に行くと、あちらこちらでライバル社に遭遇。ライバル社が自分たちより前に並んでいると、やられた!と思って焦ります」(物流・35歳)
「うちの業界は狭いし、協業も盛んなので、ライバル社の社員もある意味、仕事仲間。年末年始の挨拶の待ち時間は、同業他社とのいい情報交換の場にもなっています」(専門商社・39歳)
特別だからこそ、まだまだ多くのビジネスパーソンが挨拶に訪れるわけだ。
「アポイントをとって実際にお会いして挨拶するのが理想的ですが、この時期は先方も忙しいので、アポなしでの訪問も一般的です」(伊東氏)
年末年始の挨拶は短時間で丁寧にが基本
いずれにしても、年末年始は先方も慌ただしいので挨拶は5分から10分で終わらせたい。アポをとる場合は、「長い時間はかけませんので」と一言添えておけば、先方も安心する。
「年末年始の挨拶にネガティブなイメージを持つ理由のトップは、仕事が中断されること。特にかける時間には注意してください。年末年始の挨拶は『短時間で丁寧に』が基本です」(伊東氏)
アポがあってもなくても訪問のマナーは同じ。ロビーに入る前に、コートを脱ぐのを忘れずに。また、特別な日なので、男性ならできればネクタイを締めて訪問したい。普段、ラフな格好の人は、ジャケットを着るといった具合に、普段よりワンランク、あるいはツーランク上のフォーマルな服装で出かけたほうがいいだろう。
会議室や応接室に通されたら、先輩や上司と一緒の場合は、一歩下がってついていき、室内に入ったら、「どうぞ」と勧められるのを待って下座に座る。
「もし、相手に手渡すノベルティーや菓子折りがある場合には、まずは下座側に置きます。相手にお渡しするものですから、床に置いてはいけません」(伊東氏)
渡す時には、袋のままではなく、袋から取り出してから渡す。その時にガサゴソ音をさせるのはマナー違反。ちなみに風呂敷なら、そもそも音がしないので便利だ。
袋や風呂敷から出したら、まず、のしの文字を自分が読める方向でテーブルの上に置き、次に、相手が字を読める方向に半転させてから渡す。仮にロビーなどで立ったまま渡す場合も、いったん紙袋から出して渡すのがマナー。袋から出せない状況であれば「袋のままで失礼いたします」と一言添えること。
年末であれば、「どうぞ、良いお年をお迎えください」といった言葉で締めくくるだろう。
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