「年末年始の挨拶回り」押さえておきたい勘所 「短時間で丁寧な挨拶」で1年を締めくくる

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「この時のポイントは、『どうぞよいお年を』と文末を省略しないこと。『どうぞ、良いお年をお迎えください。』と『句読点』まで文章としてはっきり丁寧に言うことが大切です」(伊東氏)

新年の場合も同様に、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。」とはっきり言うことが大切なのは変わりない。

一方、「後輩を連れて新年の挨拶に行ったら、『喪中なので、僕はおめでとうと言えません』と大口取引先の前で堂々と宣言。相手を激怒させてしまった」(メーカー・37歳)という例も。

ちなみに法人には喪中はないので、一般にビジネスの世界では喪中はないと考えられている。社長が亡くなったとしても、喪中にはならないのは、その例だ。それでも、どうしても「あけましておめでとう」と言いたくない場合は、事前に先輩や上司に相談して挨拶回りから外してもらうほうがいいだろう。

アポなしで挨拶に出向けば、先方が不在のケースも多い。

そうした場合は、「突然、お伺いして申し訳ありません。いつもお世話になっております。私は○○会社の△△です。年末(もしくは新年)の挨拶に伺いました」などと要件を伝え、タオルやカレンダーなどのノベルティーがあれば、名刺と一緒に置いていく。

多くの企業は、不在時に備えて名刺ボックスを用意している。名刺ボックスに入れるために、新年なら謹賀新年とハンコを押した名刺を用意するビジネスパーソンも少なくない。

「ある大手メーカーでは、この時期になると受付に名刺ボックスを登場させ、挨拶の面会は受け付けない仕組みにしている。『ボックスに名刺を入れるためだけに来るのもなぁ』と思いながら10年通っている」(メーカー・38歳)

「一件でも多くまわりたいので、不在時を狙って名刺とノベルティーを置いてまわります。留守にしていて悪かったねと、先方から電話がかかってくることもあります」(通信・33歳)

ノベルティーや菓子折りは床に置いてはいけない

年末年始の挨拶は行くばかりではない。時には、取引先が挨拶に来ることもある。その時、自分の会社の担当者が不在の場合、どうすればいいのだろうか。

まずは、「わざわざご丁寧にありがとうございます」とお礼を伝える。同時に「◯◯に、ご挨拶をいただいた旨を申し伝えます」と、確実に担当者に伝えることを強調して、相手を安心させることが重要だ。

もし、電話などで話したことがある相手であれば、「お電話では、いつもご対応いただきありがとうございます」などと一言付け加えれば、好感度が増す。また、ノベルティーや菓子折りなどをいただいた場合は、できれば上座に置く。なければテーブルの上、カウンターの上などでも構わないが、床に置くのはNGだ。

アポを取って面会する場合は、12月の中旬くらいから始める企業が多い。もちろん、単なる挨拶ではなく忘年会や接待などを行うところもある。アポなしで回る場合は、年末は仕事納め(最終日)とその前日、新年は仕事始め当日とその翌日くらいが多いようだ。

最後に「短時間で丁寧な挨拶」のポイントをまとめた。

・挨拶は5分から10分と手短に
・普段よりワンランクフォーマルで訪問
・ノベルティー、菓子折りは床に置かない・音をたてずに袋から出す
・挨拶は句読点まではっきりと

これを参考に、年始年末の挨拶回りを乗り切ってほしい。

竹内 三保子 カデナクリエイト

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たけうち みほこ / Mihoko Takeuchi

明治学院大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。流通業で培った顧客視点で執筆を行っている。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『クイズ 商売脳の鍛え方』など。最新著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』(カデナクリエイト著・マイナビ出版)。

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