イタリアのファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ」(D&G)が今年11月、中国で起こした大炎上事件。もともとは上海で実施予定のファッションショーに先駆けて公開した動画だった。公式のインスタグラムで、中国人女性とおぼしき人物が、お箸でピザを食べる様子を流した。そこで小炎上。
やめておけばいいのに、D&Gのデザイナーが、インスタグラムのメッセージ機能を使って中国のことを悪く言った。まさか、そのメッセージのやりとりが公開されるとは思わなかっただろう。結果、ショー出演者のボイコット、ショー自体の中止、責任者の謝罪、などが起きた。
イタリアの高級ブランド、プラダも今月、新しくつくった「赤く分厚い唇に黒い肌」のキャラクターが「黒人差別だ」との批判を受け、謝罪や新製品に撤去に追い込まれた。
しかし、これはSNSなどを中心としたネット空間でただちに情報が駆け巡る時代の、ほんの一例にすぎない。日本では言語の関係で、あまり報じられていないものがあるが、2018年を振り返り、世界中の企業が起こした「炎上集」を取り上げてみたい。
炎上は続くよ、どこまでも
(1) H&Mいまさらの人種差別商品
H&Mが発売した子ども向けスウェットが炎上した。そのスウェットのモデルは黒人少年だ。カラーは3色あり、モデルの子は緑色を着ていた。そこにプリントされていたのは「COOLEST MONKEY IN THE JUNGLE」(最高にクールなジャングルの猿)だった。
おそらく問題は、これに携わったスタッフが、誰一人として、この人種差別的な内容に気づかなかったことに違いない。企画して、生産して、撮影のときには黒人の子どもを用意して、さらにウェブサイトに載せる、という一連の作業のなかで、それがスルーされてきた。きっとアフリカ系の社員もいただろうに。
もしかすると、猿には愛らしいイメージしかなく、むしろよい意味で使っていたのかもしれない。しかし、結果を見ても、あまりに配慮がなかったように思う。
有名人たちからの批判も相次ぎ、H&Mは黒人の子のモデル写真を削除した。一連の画像にもしご興味があれば「COOLEST MONKEY IN THE JUNGLE H&M」と検索すれば見られる。
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