忘年会で「飲み過ぎる人」はやっぱり危険だ 二日酔いは身体からの重要なイエローカード

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そこで必要となるのが休肝日だ。先ほどの目安はあくまで1週間における1日の平均量であるので、飲まない日をつくっておけば、もう少し多量に飲める日をつくることができる。男性なら1週間の総量で280g、女性なら140gまでに収める。たとえば、男性であれば日本酒3合を5日間飲むのが限度になり、後の2日間は飲まない日にすることだ。

毎日ビール1本程度で飲んでいる人にとって飲まない日をつくらなければならないというものではない。この程度の飲み方では、むしろ心臓病や糖尿病を減らす効果も確認されている。

それでは、アルコール280gを週5日ではなく、2日や3日に分けてはどうかというと、これもリスクの高い飲み方になる。1回に140gあるいは90gと大量に飲むことは勧めることはできない。1回に70gを超える飲み方は、欧米ではビンジ(大量)飲み(Binge drinking)と呼ばれ、心筋梗塞や不整脈など心臓病や脳卒中や外傷・交通事故などの危険が高くなることが知られている。

飲酒と外傷による死亡の関係

意外と知られていない飲酒と外傷による死亡の関係だが、アルコールによると考えられる死亡者のうち約10分の1は外傷による死亡である。救急外来に運ばれてくるような外傷は、半数以上がビンジ飲みであったという報告もある。

また、特に高齢者で気をつけたいのが、気持ちよく酔って風呂に入り浴室で溺死する人がいることだ。サウナ風呂にも入ってはいけない。サウナの中で居眠りをしてしまい、救急車で運ばれてきた患者さんが厳しい熱中症であったこともある。

ちなみに、大量に酒を飲んだ後には、かなり長時間にわたってアルコールが身体に残っていると考えたほうがよい。一般に70kgの体重の人で20gのアルコールを身体から消失させるには3時間~4時間を必要とする。そうすると、前の晩に60gのアルコール(日本酒3合相当)を飲んでしまうと、身体から完全に消えるには9時間から12時間かかることになる。

特に気をつけたいのは、金曜日の夜に大量に飲み、翌日の土曜日の朝に自動車を運転してゴルフに行くなどの時だ。60g以上のアルコールを飲んでいれば、翌日早朝には確実に残っている。こんな状況で事故を起こしてしまえば、人生が破滅する道へ進むことになる。

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