47歳女性が病に悩む子供に「髪を捧げた」事情

髪を寄付するだけで誰かの心の支えになれる

牧野恭子さん(47歳)は寄付のために3年半以上も髪を伸ばしたという(筆者撮影)

「ヘアドネーション」という取り組みをご存じだろうか? 脱毛症や乏毛症、小児がんなどの治療で頭髪の悩みを抱える人のためにメディカル・ウィッグの材料となる髪を寄付する活動である。

最近ではフィギュアスケート女子の三原舞依選手(シスメックス)が長い髪をバッサリ切った理由を問われ、「ヘアドネーションしました!」と明かして話題になった。

放っておいても伸びる髪。それを切って提供することがボランティアになるとは、どういう仕組みなのか。富山市内に住む牧野恭子さん(47歳)はこのほど、3年半以上かけて伸ばした髪を30センチ以上切り、ヘアドネーションを推進するNPO法人へ寄付した。牧野さんの体験や動機から、ヘアドネーションの意義について考えてみた。

病気に悩む子どもたちへ無償提供

ヘアドネーションを推進しているのは、大阪市内に拠点を置くJHD&C(ジャーダック:Japan Hair Donation & Charity)というNPO法人である。同法人のホームページによると、集まった髪と募金などによってメディカル・ウィッグを製作し、病気などが原因で髪を失ってしまった18歳以下の子どもたちに完全無償で提供している。

なぜ18歳以下を対象としているかというと、市販のウィッグは手頃な価格を実現するために大量生産され、サイズが少なく、ほとんどが成人用である。子ども向けのウィッグも流通しているものの種類が少なく高価で、髪型のバリエーションが少ない。

未成年は成長に伴ってフルオーダーのウィッグを買い替えざるをえないが、治療と並行してその費用を捻出すると負担が大きい。そこでJHD&Cは寄付によって頭髪を募り、「人毛100%」のウィッグを希望者へ提供している。

牧野さんがヘアドネーションについて知ったのは2015年春だった。ネット上の情報でJHD&Cの存在と、その活動内容を知り、すぐに髪を伸ばし始めた。当初、「爪を伸ばすようなもの」と軽く考えていたが、量が多くて針金のように硬い髪質だったので、伸ばし始めるとすぐ、いろいろな不都合が出てきた。

「髪が伸びるにつれて肩こりがひどくなり、首筋の後ろがいつも痛かった。髪の重さから寝返りがうてず、朝起きたら首が回らないこともありました」

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