30代でも起こる「孤独死」壮絶すぎるその現場 現役世代は福祉の網にかかりにくい
誰にも看取られることなく、ひっそりと部屋で最期を迎える孤独死。死者数は年間3万人といわれるが、その中で見落とされがちなのが、働き盛りの現役世代だ。日本少額短期保険協会が発表した「第3回孤独死現状レポート」によると、2015年4月~18年2月までの孤独死者のうち、50代以下が約4割を占める。
地域の民生委員の訪問や、町内会や自治会の見守り活動などによって、高齢者は福祉の網にかかりやすいが現役世代は対象となりにくい。そのため死亡後の遺体の発見が遅くなることも多い。
『週刊東洋経済』10月29日発売号は、「ビジネスパーソンを襲う『孤独』という病」を特集している。孤独であることは1日15本たばこを吸うのと同程度の健康への悪影響があることや、国際的に見ても日本人が社会的孤立に陥りやすい現実、職場での孤独などをレポート。見過ごされがちな現役世代の孤独の実態に迫っている。
東京都府中市。築16年の日当たりのいいアパートで、30代の男性はリビングのベッドにくの字に体を横たえた状態で息絶えていた。ベッドマットは粘りけのある茶色の体液をたっぷりと吸い込み、この世のものとは思えないほどの異臭を放っていた。
若くしてがんになり、親に連絡せず闘病
辺り一面には、まるで小豆を散らかしたかのように大量のサナギが落ちている。これが羽化してハエになる。最初のハエは換気扇などのわずかなすき間から、そのにおいをかぎつけて室内に入り込む。そして遺体の眼球などに卵を産みつけ、幼虫(ウジ)→サナギ→成虫というサイクルで増加していく。隣人からの異臭がするとの通報を受けて、警察が駆け付けたときにはすでに亡くなってから2週間が経過していた。
男性が亡くなったベッドの横のこたつの上には、パステルカラーの便箋が何枚もゴムで丁寧に束ねられていて、こう書かれてあった。
「野菜を送りますね。慣れない都会で大変だと思いますが、頑張ってね!」
それは故郷に住む母からの手紙であった。優しく穏やかな筆跡が残る色とりどりの便箋の隣には、大量の抗がん剤が無造作に置かれていた。キッチンの横の段ボール箱には、母が手紙とともに送ったであろうタマネギやニンジンやサツマイモが、水分を失ってクタクタにしなびている。
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