東芝「ダイナブック」斬新じゃない戦略の勝算 シャープとの連携で何が変わるのか
「現時点で具体的な答えを持っているわけではない」
シャープ副社長で、10月に東芝クライアントソリューション会長に就任していた石田佳久氏は、そのように認めながらも一方で、同社を3年後に上場させる中期経営計画を発表した。
今年度こそ引き続きの赤字を計上するものの、2019年度には黒字転換。2020年度には現状の2倍に相当する売上高3400億円、営業利益70億円を目指すという。
しかし、本当に成長の見通しが立っているのか――。
「TOSHIBA」ロゴの入ったパソコンは消える
12月3日の会見で石田会長は「(東芝本体から切り離された)2016年以降、不採算事業を整理・縮小して均衡を保つことを目指してきた東芝クライアントソリューションだが、地力はある。シャープが取り組んでいるAIoT(AIとIoTを組み合わせた戦略)戦略や付随するネットワークサービス、それにシャープが持つ海外の営業拠点などを組み合わせることで成長できる」と話したが、具体的な成長戦略の明言は避けた。
今年10月、シャープが同社の約80%の株式をおよそ40億円で取得したばかり。「(シャープによる買収以来の話し合いの中で)他社にはない優位性、ユニークな価値があると"彼らは話している"」というコメントになるのは致し方ないところだろう。
「8割の株式をシャープが保有しながら東芝の名を冠するのは不自然」(石田会長)として、2019年1月1日からは日本国内でブランド展開していた「Dynabook株式会社」に社名を変更する。
かつて世界を席巻した「TOSHIBA」ロゴの入ったパソコンは市場から消えることになるが、事業環境は厳しく、まさに“ゼロ”からの再出発と言っていいだろう。
2007年、東芝はグローバルで1270万台のノートPCを販売してシェア9%を誇っていたが、それから10年後の2017年、東芝クライアントソリューションが販売したパソコンは、わずか180万台にすぎなかった。2億5940万台(IDC調べ)というグローバル市場の中にあって台数シェアは0.6%にも満たない。
では、“他社にはない優位性”“ユニークな価値”とはどのようなものなのだろうか。
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