ここ数年、就活生のエントリー企業数は、年々減少の傾向にある。先輩からも「思っていたより簡単に複数企業の内定がもらえた」「そんなにエントリーしなくても大丈夫だった」という声が聞こえてくるのではないだろうか。
「いったい何社エントリーすればいいのだろう」と、疑問を持つのは自然なことだろう。しかし、就活に、「最適なエントリー社数」という正解があるわけではない。必要なエントリー社数は人それぞれ違う。
インターンシップに積極的に参加することで、業界&企業研究が進み、自分の志望企業をある程度絞り込んだ状態で本番を迎える学生がいる一方、本番を迎えてもどこにエントリーしたらいいかわからないという就活生も存在する。
大切なのは複数の選択肢の中で比較検討することだ。ぜひ広い視野でさまざまな業界や企業を見て、その中で自分が活躍できそうな企業、さらに自分を成長させてくれそうな企業を見つけ出してほしい。ただ、就活の途中で「持ち駒がなくなってしまった」という事態にだけは、ならないように注意してもらいたい。
「新卒カード」は1度しか使えない
新卒で入社した社員の3割が3年で辞める、いわゆる”3年3割問題”は、景気が良くても悪くても、実はあまり大きな変化がない。厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」を見ると、大卒の新入社員が入社してから3年以内に離職する割合は、この20年間、ずっと3割前後で推移している。
こうした現状からか、「就職しても合わなかったら転職すればいいや」と考えて、就活を終えてしまう人がこれまで多くいる。そんな考えの先輩から話を聞けば、「そんなものか」と安易に就職先を選んでしまうのも、無理はないだろう。
もちろん退職理由には、不景気で希望の条件の会社の内定がもらえなかった、職場の環境に馴染めなかったなど、さまざまなことが考えられる。しかし、少なくとも現在は、就活生有利の環境であることに違いはない。「努力すれば」という条件は付くが、本人の希望通りの就職がかなうチャンスはかなり大きいはずだ。
あまり気負いすぎる必要はないが、自分のファーストキャリアをどの企業で始めるのかは、じっくり考えてほしい。よく言われることだが、「新卒」というカードは1度しか使えない。売り手市場の今だからこそ、さまざまな可能性が探れるはず。ぜひ、万全の準備をして、納得のいく就活をしてほしい。
今回は、先輩の就活アドバイスに潜むリスクについて、紹介した。中には、親身にアドバイスしてくれたり、失敗談をつまびらかに話してくれる先輩もいるだろう。しかし、売り手市場特有のこととはいえ、先輩の就活アドバイスは、楽観的なことが多い。就活で成功が保証される必勝パターンはない。先輩のアドバイスを鵜呑みにせず、自分なりの軸をもって、油断することなく就活を進めてほしい。
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