新卒採用が社会問題としてメディアに大きく取り上げられるようになったのは、2008年秋にリーマンショックが起きて日本経済にも波及し、内定取り消しに遭う学生が出てからだろう。以来、企業の採用活動に対する批判が強まり、”ブラック企業”という名称も定着した。さらに新卒一括採用そのものに対しても異義申し立てが始まった。
インターンシップ実施企業は増えている
スケジュールとともに批判されたのが、「インターンシップ」だ。インターンシップとは、本来はキャリア開発の一環として、学生に就業体験を与えるもの。1日や半日を若手社員と過ごして、食堂でランチを食べるだけでは就業体験とは言えない。
さらには、インターンシップとは名ばかりで、会社に足を踏み入れることすらなく、外部のセミナー会場を利用しての企業説明会や、若手社員懇親会のようなものまである。
こうした中身の伴わないインターンシップが2010年前後に横行していたため、経団連は「倫理憲章」や「指針」で厳格にインターンシップを定義して是正に努めた。その結果、2010年代前半に”名ばかりインターンシップ”は、いったん目立たなくなっていた。
ところが、4年前の2016年卒採用から、事態は一変する。2016年卒採用は新卒採用にとって特異な年で、採用スケジュールが政府の要請によって、3月採用広報解禁、8月選考解禁と急激に変わった。多くの企業が「これでは採用が難しくなる」と見て、3年生の夏からサマーインターンシップを始める企業が増加。さらに、解禁直前の1~2月に開催する、ウィンターインターンシップも拡大した。
以来、インターンシップの勢いは、増すばかりである。「インターンシップは採用や就活に有利」という風評もあり、実施企業も参加学生も増大している。さて、ここからが問題だ。本当に就活に有利なのか?
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