井原さんは、ある種「自分をマーケティングする」ともいえるこうした仕事術が、自然と身に付いているのかもしれない。
新任リーダーの井原さんは、「今はマネジメントの扉のドアノブに手をかけたところ。奥深くて難しく、これでいいという終わりがないこの仕事を、まずはやりきってみたい」と、今後の抱負について語る。
回り道も、力になる
一方の子育てについては、システム会社勤務のご主人が協力的なおかげで、役割分担が定着し、無理なくやっていると言う。
「保育園の送りは旦那さん、お迎えは私。家事は料理などキッチン周りは私、洗濯などお風呂場周りは旦那さんと決めています」
ご主人は井原さんの「地元、香川の友達に紹介してもらった同郷の人」。だから、自然と価値観も合うし、帰省も一緒にできる利点がある。だがその一方で、実家が双方とも遠方であるために、両親の協力が得にくいというつらさも抱える。
「特に、復帰直後は子どもが病気がちで、仕事を休まざるをえない日が多くて落ち込みました。母には子供の面倒のため、1カ月で3回来てもらったこともあります。悪いとは思いながらも、子どもの病気が長引きそうだなと思うと、母に助けに来てもらうようにしていますが、時々、『もう治るだろう』と判断ミスをして、夫婦交互に会社を休んだときもあり、忸怩たる思いもしています」
住まいの世田谷には、病気の子どもを預かってくれる病院もあるにはあるが、一度電話したところ、先方から「今、インフルエンザとノロウイルスとロタウイルスの子がひとりずついますけど、大丈夫ですか?」と聞かれて絶句したこともあったそうだ。
「いくら立派な仕組みがあっても、機能していないと意味がないなと痛感しましたね」
それでも今は、2歳半に成長したお子さんも病気しにくくなり、仕事と育児の両立も、自分なりのリズムをつかみつつあるようだ。
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