ヤフーでトップページ編集を手掛ける井原悦子さんの転機は、2013年3月、育休から復帰してちょうど1年経った頃。スマートフォン版トップページの編集デスクに抜擢されたのだ。
そのとき井原さんは、「私でいいのだろうか。別の人を立てたほうがいいんじゃないか」とたじろいだという。
そう言うのも、よくわかる。「デスク」とは、部下の記者に指示を出したり、原稿をチェックしたり、それらを統合して記事を作成したりするマスコミ業界特有の役割だ。もともと、机にへばりついていることからできた呼称で、昼夜問わず会社にいる人という印象が強い。
「でも私は、まだ2歳の子どもの保育園のお迎えのため、6時には会社を出なくてはいけません。席にいないデスクなんて機能しないのでは?と不安でした」
井原さんは、その思いを素直に上司に告げた。
すると、「井原さんがいないときは、フォローする態勢を作るから、気にするな」と勇気づけてくれたと言う。
「それで、やれるところまではやってみようと思ったのです」
それにしても、激務中の激務と言われる「編集デスク」を、小さな子どもを育てながら、どのように両立しているのか?
朝は、2時間前倒しに
井原さんが選んだやり方は、生活を「朝型」に変えることだった。
「当社の定時は午前10時から午後6時45分まで。それを『時差出勤制度』を利用して、2時間前倒して働けば、『時短』を取らずとも、やれるかもしれないと思ったのです」
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