「制作、開発、企画など、共に仕事をしている関係各所の人たちにお願いごとをするときも、直接、席に出向いて説明するようにしているので、いつも社内でバタバタしています。でもそのほうが、なんといっても話が早いし、伝わりやすいのです」
バルス祭りという挑戦
実は、井原さんが育休から復帰した時期は、トップが変わり、会社が経営の舵取りを大きく転換した時期と重なる。その変化は、井原さんが「180度変わった」と言うほどだ。
「『課題解決』『爆速』『フォーカス(集中して大きな成果を出す)』『ワイルド(迷ったらワイルドなほうを選択する)』などのビジョンが打ち出され、人事考課もアウトプット評価に加え、こうした“ヤフー・バリュー”が実践できたどうか、『バリュー評価』が加わるようになりました。
以来、私も、今までは『迷ったら、やめとこう……』だったのが、迷ったらやる、やらないことにはヒットは打てないという考え方に、がらりと変えていきました」
同僚や部下とのフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションに力を注ぐのも、こうしたビジョンの浸透を図りたいという狙いもある。
実際、井原さんが編集デスクになってから、チームは明らかに変化を遂げつつあるようだ。
そのひとつが、「バルス祭り」だ。バルスとは、ご存じ宮崎駿監督のアニメ『天空の城ラピュタ』で登場した崩壊の呪文だが、ネット上ではテレビ「金曜ロードショー」でラピュタが放映される日には、「バルス!」の呪文が各所で発動し、WEB掲示板やSNSなどでは、サーバーがダウンしかねない大騒ぎとなる。
「Yahoo! JAPAN トップページでは、押すとページが崩壊する『バルス』ボタンを設置しました。ユーザーが押すと、最後はヤフーのロゴまで落ちる仕掛けです。私がいるスマートフォン版では、ラピュタの登場人物、パズーとシータの顔文字を作成。ヤフーと言えばこれまではまじめで保守的なイメージがありましたが、ユーザーの方からは『ヤフーが何か面白いことをやっている』と評判もよく、チームのみんなとひとつ前に進んだ達成感がありましたね」
しかも、スマートフォンチームは急遽、参加が決まったため、当日のお昼から作業を始め、デスクの井原さんは、関係各所に「こんなことをやっていいですか?」と大急ぎで聞いて回ったという。まさに「爆速」と「迷ったらワイルドなほうを選べ」というビジョンを、チームが一体となって実行した瞬間だったという。
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