転勤は家族帯同が半数、働いていた妻の7~8割が離職
女性が会社を辞め、専業主婦になる――。この理由について、私は拙著『「育休世代」のジレンマ』で、必ずしも会社側に伝えられている表向きの理由が本当の理由とは限らないと分析した。
働き方がハードすぎて子育てとの両立ができる気がしない、家庭を持ちながらやりがいがある仕事を続けていける展望が描けない……などの悩みがあるところに、夫の転勤などの「引き金」があると、退職になるというケースも多い。
一人ひとりに複雑に絡み合った事情があり、ストレートに何パーセントがどの理由で辞めているとは言い切れない。それでも、出産をした後も育休を取って復帰をしながら仕事を続ける女性が増える一方で、「夫の転勤」は女性が専業主婦になる1つの主要な引き金になることは間違いない。
転勤は赴任者本人にとっても、帯同する家族にとっても負担が大きい仕組みだ。労働政策研究・研修機構(JILPT)が300人以上の社員がいる企業10000社と、それらの企業で転勤経験のある正社員8人ずつに実施した調査(2016年実施)によると、もともと共働きだった夫婦で家族帯同したケースのうち、男性の配偶者である妻は国内転勤で73.3%、海外転勤で88.4%が離職している。
調査対象企業で、会社として既婚者が転勤する場合に「家族帯同が原則」としているのは25.5%で、調査対象正社員のうち、直近の転勤時に家族帯同をしたのは国内転勤で45.0%、海外転勤で52.5%。単身赴任確率は40代以上では過半数となり、家族形成期の20~30代では帯同するパターンのほうが多い。
仕事を続けたいのであれば、夫が単身赴任で行けばいいじゃないかという意見もあろうが、子どもが小さい場合など「ワンオペ育児(と仕事の両立)」との究極の選択を迫られてやむをえず、というケースも多い。
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