「夫に嫌われたら終わり」と気付き震撼した日

「認知的不協和」に我々はどう対処すべきか

ほぼ専業主婦になった筆者が味わった「恐怖」とは…(イラスト:SaulHerrera/iStock)
新聞記者を辞めた後、会社員と女性活躍に関する発信活動、さらに大学院生と3足のわらじを履きながらバリバリ働いてきた中野円佳さん。ところが2017年、夫の海外転勤により、思いがけず縁遠かった専業主婦生活にどっぷり浸かることに。そこから見えてきた「専業主婦」という存在、そして「専業主婦前提社会」の実態とそれへの疑問を問い掛けます。

前々回までに、主婦の忙しさ、家事育児が高度化する背景について書いた。

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理由の1つは、専業主婦同士の同調圧力が挙げられるのではないかと、前々回記事(際限なく高度化する日本の「家事育児」の壮絶)で提起した。それに加え、もう1つ言えそうなのは、離職によってアイデンティティの一部または全部を失った女性たちが、自分の価値を見いだそうとするため家事労働にのめり込むのではないかということ。今回はその点について考えていきたい。

夫の転勤でシンガポールに来てから最初の1カ月、私は生活の立ち上げのためにほぼすべての仕事を入れられずにいた。当時、その後退職することになる会社を休職扱いにしてもらっていたため、しばらくは有休消化などで給料があったものの、生活としては基本的には専業主婦。というか駐在妻。

シンガポールの幼稚園、チャイルドケア系は大抵生後18カ月からしか預けられず、下の子を入れるには1カ月ほど待つ必要があった。預け始めてからも2カ月ほどは午前中いっぱいでお迎えに行くという「慣らし」をしていて、私の自由になる時間は1日に2時間くらい。

収入は激減。しかも、その2時間で細々とやっていた日本向けの仕事のギャラは、日本の口座に入り、現金としては引き出せない(日本円で日本の口座に入れてもらっていて、こちらで銀行口座を作っていなかったため)。そのため、毎週、夫に生活に必要な現金をもらう必要があった。

そもそも私はシンガポールに、夫の帯同ビザで来ている。今のこの場所に暮らせている、この国にいさせてもらっているのは夫、そして夫の会社のおかげだという感覚。そして日々必要なおカネも夫にもらっている。

重要な生活の基盤が自力で作れず、夫頼みだということ。これは結構、苦しかった。

自分のおカネでカフェラテを飲みたい

もっと具体的に何が苦しいかを分解してみる。まず第一に、自分のおカネで自分の判断でものを買えないことだ。

スタバなど喫茶店でカフェラテを注文する、ママ友とランチに行ってS$20(1600円くらい)払う……など、自分が働いていたときは躊躇なくやってきた行動にためらいが出る。家具など高い買い物は「夫に相談しないと」という気分になる。

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