「夫の会社都合」で生きる、転勤妻たちの本音 単身赴任より離職を選ぶのにはワケがある

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JILPTの正社員調査では、制約がなく身動きがとりやすいためか、子どもがいないケース、または就学前の子どもがいる場合は、とりわけ帯同する割合が高まることが見て取れる。

こうした場合、学齢期の子どもがいる場合よりも、帯同の確率が高い(学齢期の子どもがいる場合は、受験対応などのために、母子がもともと住んでいた場所に残るというケースも多いのだろう)。

家族帯同に伴い、どれくらいの人が自分の仕事を離れているのか。同調査では男性の配偶者は45%がもともと働いていなかったが、働いていたケースでも特に海外転勤の場合は半数程度が退職するなどして帯同している。

配偶者側の立場としても、企業側が配偶者の転勤を理由に退職した正社員が過去3年間で「いる」と答えた企業は33.8%。女性社員の数が多いほどこの割合は上がる。つまり、女性社員を社内外の夫の転勤により失っている企業は多い。

共働きが増え、女性側も転勤が発生していくなかで、「転勤→配偶者が辞める」というパターンは今後どう変わっていくのだろうか。

再雇用、休職で戻る

今年7月、一般事務のルミさん(仮名)は家族とともに米国に旅立った。夫が留学で2年間シカゴに滞在するため、職場で帯同休暇を取り、2年後には復帰する予定だ。社内では事務の女性として数少ない育休後の復帰事例となった。今回も2年間を有効に使って、戻ってから職場に貢献したいと考えている。

配偶者が転勤した場合に、休職や一度退職した後に再雇用できる仕組みを設ける企業が出てきている。JILPTの調査では、配偶者が転勤している間、休職を認める制度がある企業は3.9%。配偶者の転勤等で一度退職した社員が戻ってきたときに再雇用する制度があるのは10.6%。

まだまだ少ないとはいえ、人手不足のなかで、企業の勝手を知ったる人材が別の地域での生活経験も経たうえで戻ってきてくれれば、企業にとっても活躍してもらわない手はない。一方で、制度があっても退職が防ぎきれない実態もある。

航空会社に勤めていたマキコさん(仮名)は、この夏、6年間勤めた会社を退職した。3年前に、夫のシンガポール転勤が決まり、赴任先の支店への異動の希望を出したものの、かなわず会社を休職し、帯同。休職中に2人目の子を授かったため、育児休職に切り替えた。

ところが、帯同休職と育休を合わせても最大4年の休職期限が迫るなか、夫の滞在は長引く見通しに。もともとマキコさん自身が長期で海外を飛び回る仕事。「自分だけで子ども2人を連れて帰国して、元の出張だらけの仕事に戻れる気がしない……」。

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