40代でやっと悟った親との楽な「付き合い方」 親にだって親の人生や肩書がある
山田:そうですかねー。最近うちの奥さんが気遣って、僕の両親に電話したらしいんです。今度そちらまで迎えに行きますから温泉行きませんか、娘も連れていきますので、みたいな感じで。そしたら電話口の親父が「今おかんは、家から出ると心臓止まってしまうから、無理だ」と。
いや、どんな状況やねんと。
スー:おやおや?
親には親の人生があり、親という以外の肩書がある
山田:家出たら心臓止まる……体調が悪いのはうそじゃないでしょうが、牽制が過ぎるんですよ。
やっぱり向こうも僕に対して距離がある。
親子共に、アウトボクサーなんです。
でも、あと何年かしたら確実に両親も老い、死んでいくわけで。
後悔にさいなまれるんじゃないかという恐怖心はすごくある。
スー:うちの父は、母が大きな手術をする時に立ち会えなかったんですよね。自分も病気で入院してたから。十分なケアができなかったと、いまだにずっと、昨日のことのように悔いるときがいまだにあって。それを見てると、うわっつらい、と思っちゃう。
だから自分が後悔したくないという保身でもあるんですけど、ある時から親の甘やかしがすごく楽しくなってきたというのもあります。
以前は親が子である私の世話をすべきという認識だったので、父親に対しても「あなたは親としてやるべきことをやっていない」という気持ちが強かったんです。でも、親には親の人生があって、親と子という肩書以外の顔があるんだっていうことがわかったんです。
それからは、子が親を甘やかしてもいいんだっていう視点に変わりました。親の甘やかし、何の責任もないから超楽しいんですよ。人んちのイヌとかネコみたいな感じで、別に教育とかしなくていいしみたいな。
山田:そんなかわいがり方(笑)? でもわかります。僕も両親に娘見せたるわ言うて東京の病院呼んだ時、いろいろ親に迷惑かけてきたので、お恥ずかしながら50万くらい渡したんです。その時ものすごく気持ちよかった(笑)。精神衛生上いいことしてるなっていう感覚は確かにあった。