各大学の出題傾向などについて、概略は次の通りだ。
【国公立の単科大学】記述式が中心で医療系のテーマも出る。合格最低点は高め
【私立大学】解答形式は大学による(記述式・マーク式など)。出題内容は医療系のテーマも多い。合格最低点も大学によって高低あり
医学部入試の特性としては、当然のことながら英語や理科(小論文)で「医療系テーマ」や「専門用語」の知識(引き出し)が必要となる。医系の単科大学などでそのような出題が多いので、その類いの知識が必要かを事前に調べておこう。知識の習得や対策が必要なら、早いうちから(できることから)やっておくべきだ。
一例として東京医科歯科大学の英語は例年、1500~2000語の「超」長文、それも科学雑誌などから引用された本格的な論文記事が1題出されている。2018年度は「卵の摂取が健康に与える影響についての誤解」に関する英文であった。
このような出題の場合、それなりの練習が必要なのはもちろんだが、何よりも「経験値(長大な論文記事をどれだけ読んだか)」が自分の得点に直結する。始めから医療系の難しい英文はなかなか読めないので、最初は日本語の文献から慣れていくのも一つの方法だ。いずれ(といってもなるべく早いうちに)英文の科学雑誌などに手を広げていこう。
過去問練習は「時間を意識」する
医学部入試には、「量が多く、超難問が含まれる」という特性もある。これは、「多くの患者を診療する練習」として、また「治療・優先順位を見極める練習」としての意図が含まれている。
超難問はいわゆる「捨て問」で、その実態は「解いてはいけない・解くべきではない」問題なのだ。試験当日にすべきことは「取れる問題を確実に取り、得点を最大化する」ことだから、「いくら頑張っても解けない」問題で時間を浪費するのはナンセンス極まりない。
このような入試方式を文字通り実施している大学が実在するのだ。公立の奈良県立医科大学では、前期日程において「トリアージ入試」のネーミングで入試が行われている。
医療ドラマなどでも見たことがあると思うが、「災害医療で必要となる治療優先度決定の能力」をみるための試験だ。この入試は通常の1科目ごとに独立した試験方式と異なり、3科目(英語・数学・理科1科目)を180分連続という長い時間の中で解くものである。問題を解く順番や時間の配分は本人の自由だが、どうするかの判断が正しく「運命の分かれ道」だ。
ここでは、180分間を適切に使い、解ける問題を確実に取って合格点に到達する努力が求められる。つまり、「限られた時間の中で一人でも多くの命を救う練習」を、なんと「入試の時に課している」とも言える。私立でも昭和大学と帝京大学が、2科目合わせて120分程度という試験方式を設定している。このような大学を志望する受験生は念頭に置いてほしい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら