実際、どうだったか。車好き(たぶん)の鈴木所長に答えを教えていただく。セグメントを設置し終えて確認したところ、両者のズレは――。
「“ミリ単位”でした」
素晴らしい。品川線のトンネル部分は約8.4キロある。それだけ掘ってミリ単位の誤差なのだから、精密というほかない。土木って、本当に精密ですね。
「ラッキーなんです。ここは、自立性の高い泥岩層で崩れにくく、水もあまり出てこなくて、工事がしやすいですから」と鈴木さんは謙遜するが、なかなかできることではないことくらい、理解できる。
その証拠に、この規模の工事で、非開削切り開き工法が採られた例は過去にない。
さらに階段を下る。さっきまでいたのは、上下2層のトンネル群の上層部だが、今度は下層部へ降りた。
下層部の連結路の先には、シールドの名残があった。「下層シールド到達部(切開き発進部) 中央環状品川線大橋連結路工事」の文字が堂々として見える。そこで鈴木さんと一緒に記念撮影をした。
シールドは、工事が終わると大半回収されるが、そのガワというか、外殻部分は工事の終わった現場に残されることが多い。
シールド工事の後に残る「遺跡」
であるからして、シールド工事が行われた場所にはよく、この手の遺跡が残されている。
都内には、日本には、世界には、いったいいくつのシールド遺跡があるのだろうか、などと考えてみた。おそらく都内だけでも優に100を上回るシールド遺跡が埋まっているはずだ。
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